政府は11月10日、第1回日本成長戦略会議(議長:高市早苗首相)を開催し、成長戦略の策定に向けた具体的な検討を開始するとともに、総合経済対策に盛り込むべき重点施策を取りまとめた。構成員は、関係閣僚のほか、民間委員として日本商工会議所の小林健会頭、日本経済団体連合会の筒井義信会長ら経済界代表、企業経営者として、伊藤麻美氏(日本電鍍工業株式会社代表取締役)、橋本英二氏(日本製鉄株式会社代表取締役会長兼CEO)、平野未来氏(株式会社シナモン代表取締役社長CEO)らが参画。元日銀審議委員の片岡剛士氏(PwCコンサルティング合同会社上席執行役員、チーフエコノミスト)、GX実行委員の竹内純子氏(国際環境経済研究所理事・主席研究員)、AI戦略会議座長の松尾豊氏(東京大学大学院工学系研究科教授)、連合の芳野友子会長らもメンバーに入っている。
 同会議では、来夏の成長戦略の取りまとめに向け、「危機管理投資」「成長投資」の戦略分野における、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合支援とともに、「AI・半導体」「造船」「量子」「バイオ」「航空・宇宙」「デジタル・サイバーセキュリティ」「コンテンツ」「フードテック」など17の戦略分野毎に官民投資の促進策を策定。また、分野横断的課題として、「新技術立国・勝ち筋となる産業分野の国際競争力強化に資する戦略的支援」「未来成長分野に挑戦する人材育成のための大学改革、高専等の職業教育充実」「世界に伍するスタートアップエコシステムを作り上げ、持続可能な経済成長と社会課題解決を両立」「金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略の策定」「生産性の高い分野への円滑な労働移動や働き方改革を含めた労働市場改革」「介護、育児等によりキャリアをあきらめなくてもよい環境の整備」「物価上昇を上回る賃上げが継続する環境整備(中小企業等の生産性向上・事業承継・M&A等)」「サイバー対処能力強化(技術開発・人材育成加速)」の8点を掲げ、解決策を示すこととしている。
 来夏の成長戦略策定に向けた検討結果を待たずに、直ちに実行すべき重点施策については、17の戦略分野、8つの分野横断的課題に対応した具体策のほか、米国関税措置への対応、地域経済活性化など他の本部と連携して進める課題も提示。人材育成分野では、「全国各地に人材育成の在り方を協議する場を設置」「未来成長分野に挑戦する人材育成のための大学改革、高専等の職業教育充実」「高校から大学までを通じた産業イノベーション人材を育成するためのシステム改革」等の施策が盛り込まれている。
 詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai1/gijisidai.htmlを参照。
 日本成長戦略会議https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/index.html