日本商工会議所と東京商工会議所は9月9日、「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」の結果を取りまとめ、公表した。制度導入前に免税事業者だった事業者のインボイス登録状況を見ると、BtoB中心事業者の78.6%、BtoC中心事業者は24.6%がインボイス発行事業者として登録を実施済み。免税事業者からインボイス登録(課税転換)したことを契機に価格交渉を行った事業者は23.2%で、そのうち、値上げが実現している企業は76.9%だった。一方、価格交渉をしていない事業者(76.8%)の交渉しない理由については、「価格交渉の提案等がなかったから」が最多で72.1%。次いで、「取引が見直される恐れがあるため」(21.5%)、「価格交渉に係る負担を避けるため」(12.2%)の順で多くなっている。
 インボイス登録した事業者の負担軽減措置いわゆる「2割特例」については、68.6%が適用(予定含む)。そのうち92.0%が初めての申告をスムーズに実施できたと回答している。
 本則課税事業者で今後、免税事業者との取引価格や仕入先の見直しを行うと回答した事業者は42.3%で「まだわからない」は35.1%。「価格を維持したまま取引を継続する」との回答は21.5%で、その理由については「代替となる取引先がない」(44.6%)、「取引額や取引先が少なく他を探す手間に見合わない」(39.1%)、「人手不足等により免税事業者とも取引を行う必要がある」(38.0%)、「地域貢献等の観点から小規模事業者を応援したい」(34.8%)といった回答が3割を超えた。
 バックオフィス業務のうち、経理事務従事人数・専任従業員の状況については、「売上高1000万円以下」の事業者の79.4%が1人で経理事務を行っており、売上規模が小さくなるほど、経理事務専任従業員がいない状況。「売上高1000万円以下」の事業者の76.4%では、代表者や営業担当者等が経理事務を兼務している。また、規模が小さくなるほど、各種経理業務システムの導入割合も低く、「売上高1000万円以下」の48.3%で、「会計・帳簿作成」「受発注管理」「電子契約」「納税」のいずれのシステムも導入していないと回答している。
 調査対象は全国の商工会議所会員企業2710者(個人事業主52.4%、法人46.5%、団体等1.1%)で、調査期間は2025年6月23日~7月31日。
 詳細は、https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0909140000.htmlを参照。
 中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査結果https://www.jcci.or.jp/file/sangyo1/202509/20250909_invoice_survey.pdf