公正取引委員会はこのほど、2024年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果と、優越的地位の濫用事案の処理状況を公表した。調査結果では、「不当な給付内容の変更及びやり直し」「代金の支払い遅延」「買いたたき」「不当な経済上の利益の提供要請」「代金の減額」「割引困難な手形の交付」「物の購入強制、役務の利用強制」などの具体的事例も提示。同委員会では、独占禁止法上の問題につながる恐れのある行為があった646の荷主事業者に対して、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。
 注意喚起を行った646者の荷主の業種別内訳は、製造46.9%、卸売・小売33.4%、その他19.7%。注意喚起した荷主の行為で、最も多かったのは、「不当な給付内容の変更及びやり直し」で53.4%、次いで、「代金の支払い遅延」15.8%、「買いたたき」12.9%の順で多かった。
 「不当な給付内容の変更及びやり直し」の事例では、荷主が物流事業者に対し、定期便として発注した運送業務を集配送当日にキャンセルしたが、突然のキャンセルに伴い物流事業者が負担した車両の手配に要した費用を支払わなかったケース、「代金の支払遅延」では、物流事業者に対し、自社の事務処理が間に合わないことを理由に、あらかじめ定めた支払期日を超過して運賃を支払ったケースなどを公表。「買いたたき」では、物流事業者から、それまで無償で提供させていた附帯業務の料金が上乗せされた見積書を受け取ったにもかかわらず、理由を一切説明することなく、運賃を一方的に据え置いた事例、「不当な経済上の利益の提供要請」では、物流事業者に対し、契約では、運送の委託しかしていないにもかかわらず、運送した荷物の荷卸し、検品及び棚入れを無償で行わせたケースなどが示されている。
 調査は荷主向けが2023年9月1日~24年8月31日、物流事業者向けは24年1月1日~23年12月31日。書面調査には荷主1万5159者と、物流事業者1万2592者が回答した。
 詳細は、https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/jun/250624_buttokuchousakekka.htmlを参照。