中小企業庁はこのほど、2025年3月に実施した「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査の結果を公表した。調査結果によると、価格交渉について、「発注側企業から申入れがあり、価格交渉が行われた」と回答した割合は、前回から約3ポイント増の31.5%。価格転嫁率は52.4%で、コストの増額分を一部でも転嫁できた企業の割合が増加したが、中企庁では、「引き続き『転嫁できた企業』と『できない企業』とで二極分離の状態となっている」と分析している。また、価格交渉が行われた企業のうち、7割超が「労務費についても価格交渉が実施された」と回答。価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割だった。
 価格交渉の実施状況の業種別ランキング(業界平均点)を見ると、「製薬」「電気・ガス・熱供給・水道」「飲食サービス」などが上位で「小売」は30業種中12位。「繊維」「廃棄物処理」「石油製品・石炭製品製造」の順位が低い結果となった。価格転嫁の実施状況を業種別でみると、「化学」「製薬」「食品製造」などの業種で転嫁の状況が良く「小売」は30業種中13位。「広告」「通信」「トラック運送」などの業種がコスト増に対する転嫁率が低い結果となった。
 アンケート調査の調査期間は4月21日~5月30日で回答企業数は6万5725社(回答から抽出される発注側企業数は延べ7万6894社)。中企庁では、8月中下旬目途:発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の評価を記載したリストを公表し、9月の価格交渉月間の結果も踏まえて、経営者トップへ事業所管大臣名での指導・助言を行う。
 詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250620003/20250620003.htmlを参照。