独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)はこのほど、2024年度海外進出日系企業実態調査(全世界編)結果を取りまとめ、公表した。調査結果では、2024年の営業利益見通しについて黒字を見込む企業は65.9%で前年比2.5ポイント増加。黒字企業を規模別に見ると、大企業が70.7%(前年比1.8ポイント増)、中小企業は57.2%(前年比3.6ポイント増%)だった。国別では、南アフリカが最も高く81.6%。次いで、韓国80.4%、UAE79.0%、インド77.7%、ブラジル77.1%の順で多く、中国は58.4%だった。
 今後1~2年で、現地事業を「拡大」すると回答した企業は45.2%(前年比1.8ポイント減)と停滞が続く。主要国・地域別ではインド(80.3%)、ブラジル(65.1%)、UAE(60.2%)が上位を占めた。一方、中国は21.7%で前年比6.0ポイント減。比較可能な2007年以来、最低の水準となっている。業種別に見ると、製造業では43.1%で横ばい、非製造業は46.9%で前年比3.0ポイント減。非製造業では、人材紹介・人材派遣(71.4%)、電気・ガス等(57.4%)、小売(54.4%)などで事業拡大を志向する割合が高くなっている。今後1~2年に現地で拡大する機能は、「販売」が最多で70.8%(前年比3.3ポイント増)。販売に力を入れる国は、ドイツ(85.8%)、UAE(85.1%)、フランス(80.0%)の順で多くなっている。
 進出先で2019年と比較して市場シェアが増加した企業を業種別に見ると、最も高かったのは医療機器で70.0%。次いで、医薬品(57.7%)、小売(54.5%)、精密機器(51.6%)、卸売(50.6%)で5割を上回った。ジェトロは、進出先の競争環境について、「一層厳しさを増している。インドやメキシコでは、過去5年間で日本企業の市場シェアが相対的に高まる半面、欧米企業も事業拡大に本腰。タイやベトナムでは、米中対立などを背景に中国企業の進出が加速している」と分析している。
 調査は、2024年8~9月、海外83カ国・地域の日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、日本企業の支店、駐在員事務所)1万8186社を対象に、オンライン配布・回収によるアンケートを実施。有効回答は7410社(有効回答率40.7%)だった。

 詳細は、https://www.jetro.go.jp/news/releases/2024/3fd8ebc050295428.htmlを参照。