中小企業庁は29日、9月に実施した「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査結果を公表した。発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた割合は、前回から約2ポイント増の28.3%。価格転嫁率は49.7%で、コストの増額分を全額価格転嫁できた企業の割合が増加したが、「転嫁できた企業」と「できない企業」とで二極化する結果となっている。価格交渉が行われた企業のうち、7割超が「労務費についても価格交渉が実施された」と回答。価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割だった。また、賃上げ率については、価格転嫁ができている割合が高いほど、受注企業の賃上げ率も高い傾向が見られた。
 今回の調査では、価格転嫁に関する発注側企業による説明状況や、サプライチェーンの各段階における価格転嫁の状況、官公需における価格交渉・価格転嫁の状況についても初めて実施。今後の取り組み等について、中小企業庁は、「一層の価格交渉・価格転嫁の推進、取引適正化の推進に、関係省庁と連携しながら粘り強く取り組んでいく」との姿勢を示している。
 価格交渉の状況を業種別にみると、「造船」「広告」「化学」で相対的に協議ができている一方で、「石油製品・石炭製品製造」「放送コンテンツ」「トラック運送」では協議に応じない発注側企業が多い。発注企業の価格転嫁の状況は、「化学」「飲食サービス」「造船」等の業種で転嫁の状況が良く、「放送コンテンツ」「広告」「トラック運送」等で転嫁率が低い結果となった。受注企業の価格転嫁の状況は、「卸売」「製薬」「機械製造」で転嫁率が高く、「通信」「トラック運送」「金融・保険」で低い結果となっている。
 アンケート調査の調査期間は9月25日~11月11日で回答企業数は5万1282社(回答から抽出される発注側企業数は延べは延べ5万4430社)。中小企業に発注側事業者(最大3社分)との間の価格交渉・転嫁の状況を問うアンケート票を送付する形式で実施している。

 詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241129001/20241129001.htmlを参照。