経済産業省資源エネルギー庁は、29日に開催した総合資源エネルギー調査会の電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会で、2024年度冬季の電力需給見通し、冬季に向けた電力需給対策などを示した。10年に一度の厳しい寒さを想定した電力需要に対する最小予備率は、全エリアで10%以上を確保できる見通しで、今冬も事前の節電要請を実施しない。資源エネルギー庁では「他方、供給サイドは異常気象や、地政学的リスクが高まる中での燃料調達先の国際情勢の変化、発電所のトラブル、火力発電所の東京湾・太平洋沿岸への集中等、自然災害に対して脆弱な構造にあることを踏まえると、引き続き電力需給は予断を許さない状況」と指摘。そのため、今夏に引き続き、発電事業者に対する保安管理の徹底の要請等の供給力対策を講じる。
 2025年度については、発電所の休廃止の進展や定期検査・大規模修繕等が重なる。安定供給に最低限必要な予備率3%以上は確保できるものの、現時点では、余裕のない状況が続く見込みとなっている。
 冬季に向けた電力需給対策では、供給⼒対策として、「発電所の計画外停止の未然防止等の徹底」「電源の補修点検時期の調整等」「電力広域的運営推進機関によるkW・kWhモニタリングの実施」「再エネ、原子力等の脱炭素電源の最大限の活用」を提示。また、引き続き、「エネルギーコストの上昇に強い省エネ型の経済・社会構造への転換」「DRの更なる普及拡大」「産業界や自治体等と連携した需給ひっ迫時における体制の構築」等の需要対策を実施するほか、「連系線の増強等の系統対策の推進」などの構造的な対策を実施する。

 詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2024/10/20241029002/20241029002.htmlを参照。