帝国データバンクは23日、「カスタマーハラスメントに関する企業の意識調査」結果を公表した。調査結果によると、「顧客や取引先などからのクレーム・言動のうち社会通念上不相当なものであり、その手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義されるカスタマーハラスメントについて、直近1年でカスハラ被害が「ある」と回答した企業は15.7%で「ない」は65.4%。業界別では、主に個人を顧客とする小売業で「ある」が34.1%で最多。次いで、金融(30.1%)、不動産(23.8%)、サービス(20.2%)の順で多くなっている。一方、規模別で見ると、大企業21.0%、中小企業14.8%、小規模企業14.4%の順で多い結果となった。

カスハラへの対応策や取り組みについて何らかの取り組みをしている企業は、大企業で57.4%、中小企業では48.8%。具体的な対応策等については、電話に録音機能をつけるなど「顧客対応の記録」が 20.1%でトップ。次いで、「カスハラを容認しない企業方針の策定」(12.3%)、「カスハラ発生時のサポート体制の構築」(9.6%)、「被害者への相談・通報窓口の設置」「警察や警備会社、行政との連携」(ともに8.2%)が続いた。

企業からは、「自分のわがままを押し通そうとし、思い通りの結果にならないと罵倒する年配の方が多い」(金融、鹿児島県)や「近年はネットに書くと脅されるほか、一方的に事実無根の悪評を書き込まれ、対応に苦慮している」(専門商品小売、大阪府)などの声があった。「ない」「分からない」と回答した企業からは「どこまでの発言・行為がカスハラに該当するのか不明なため、判断しづらい」(情報サービス、東京都)のように、判断の難しさを訴える声が多数みられた。

調査期間は2024年6月17~30日。調査対象は全国2万7159社で、有効回答企業数は1万1068社(回答率40.8%)だった。

詳細は、https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240716.htmlを参照。