中小企業庁はこのほど、今年3月に実施した「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査の結果を公表した。価格交渉については、「発注企業から交渉の申し⼊れがあり、価格交渉が⾏われた」企業の割合が18.4%と昨年9⽉から4.1ポイント増加し、発注企業との価格交渉が⾏われた割合は59.4%と微増(昨年9月58.5%)。中小企業庁では、「発注企業からの交渉申し⼊れが浸透し始め、価格交渉できる雰囲気がさらに醸成されつつある」との見方を示している。⼀⽅で、「価格交渉を希望したが、交渉が⾏われなかった」割合は10.3%と昨年9月(7.8%)から2.5ポイント増加。引き続き、労務費指針の徹底などによる価格交渉の機運醸成が必要となっている。

価格転嫁率は46.1%で、価格交渉が行われた企業のうち、約7割が、労務費についても価格交渉が実施されたと回答。コストの増額分を全額価格転嫁できた企業の割合は増加したが、「転嫁できた企業」と「できない企業」で二極化する兆しもある。

価格交渉の実施状況の業種別ランキング(業界平均点)を見ると、「化学」「鉱業・採石・砂利採取」「製薬」などが上位で「小売」は27業種中10位。「金融・保険」「石油製品・石炭製品製造」「トラック運送」の順位が低かった。価格転嫁の状況は、「化学」「製薬」「機械製造」などの業種で転嫁の状況が良く「小売」は27業種中11位。「トラック運送」「放送コンテンツ」「金融・保険」などの業種がコスト増に対する転嫁率が低い結果となった。

アンケート調査の調査期間は4月18日~5月31日で回答企業数は4万64615社(回答から抽出される発注側企業数は延べ6万7390社)。8月上旬頃に発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の評価を記載したリストを公表し、評価結果が良くない企業に対して所管大臣名による指導・助言を行う予定となっている。

詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240621002/20240621002.htmlを参照。