民間経済人などの有識者らで構成する「人口戦略会議」(三村明夫議長、増田寛也副議長)は24日、「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート ―新たな地域別将来推計人口から分かる自治体の実情と課題―」を取りまとめ、公表した。2023年12月に公表された新たな「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)に基づき、人口から見た全国の地方自治体の「持続可能性」について分析。2014年5月に日本創成会議(座長:増田寛也)人口減少問題検討分科会が公表した「成長を続ける21世紀のために『ストップ少子化・地方元気戦略』」の分析を踏まえつつ、新たな視点として、人口の「自然減対策」(出生率の向上)と「社会減対策」(人口流出の是正)の両面からの分析を行った。
「消滅可能性都市」リストを示した2014 年の分析は、「日本の地域別将来推計人口」における「20~39 歳の女性人口」(若年女性人口)の将来動向に着目したものだったが、今回も、この考え方を基本的には踏襲し、若年女性人口が2020~50年までの30年間で50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」とするとともに、各自治体が深刻な人口減少を回避するにはどのような対策を講じるべきかという視点からの分析も行った。
分析の結果、移動仮定の若年女性人口の減少率が2050年までの間に50%以上となる自治体(消滅可能性自治体)は744自治体で14年の896自治体から若干改善。このうち、前回対象としなかった福島県の自治体を除くと711自治体だった。
今回、消滅可能性自治体を脱却したのは239自治体。744自治体のうち、今回新たに該当したのは99自治体(うち福島県の自治体が33)、前回、今回ともに消滅可能性自治体であることに変わりはないが、若年女性人口減少率が改善したのは362自治体、悪化したのは283自治体だった。
同戦略会議では、「前回に比べ外国人の入国超過数が大きく増加していることなどから、今回の分析においては人口減少傾向が改善する結果となったが、実態として、少子化基調は変わっていない」と指摘。また、日本人人口で見れば、日本人女性の出生率仮定値(中位推計)は前回推計の1.40(2065年時点)より低い1.29(2070年時点)まで低下しており、「楽観視できる状況にはない」と警鐘を鳴らしている。
今回のレポートでは、新たな分析手法として、若年女性人口の減少率に加え、「自然減対策」「社会減対策」の必要性などで全国1729自治体を分類。最も持続可能性が高い「自立持続可能性自治体」は、千葉県流山市、岐阜県美濃加茂市、愛知県大府市、滋賀県守山市、福岡県苅田町、沖縄県浦添市など65自治体にとどまった。また、出生率が非常に低く、人口の増加分を他地域からの人口流入に依存している「ブラックホール型自治体」は25自治体。東京23区のうち、新宿、文京、台東、墨田、品川、目黒、大田、世田谷、渋谷、中野、杉並、豊島、北、荒川、板橋、練馬の16区、埼玉県蕨市、千葉県浦安市、京都府京都市、大阪府大阪市などが分類された。
詳細は、https://www.hit-north.or.jp/information/2024/04/24/2171/を参照。