奈良大学
大学で正規の授業と連動させて、日本商工会議所の小売商(販売士)資格の取得を学習目標の一つに置いているユニークな大学がある。奈良市にある奈良大学社会学部がそれだ。
奈良大学が販売士資格取得に試験的に取り組み始めたのは1996年度のこと。同年から「販売管理論」の講義を創設し、これに通信教育を併用し始めた。日曜日には、3級用にスクーリングも行った。その後、2級用のスクーリングも開始し、今日に至っている。同大学で販売士資格取得の講義開設に中心となって取り組んだ太田一樹助教授(現阪南大学助教授)は、「今日に至るまで、3級の合格者率は95%以上の実績を誇っている」と、その成果を強調している。
奈良大学で販売士資格取得に取り組んだのは、マーケティング専攻の学生を中心とした社会学部在籍の学生たちに、販売の理論と現実を教えて、大学での勉強が、いわゆる”机上の空論”になるのを防ぐためだ。
その辺の目的を学生たちもよくわかっているようで、受験者数も徐々に増加している。「正規の授業での理論把握をもとに、資格取得で実践面での応用のきく知識を把握させたい」とは、太田氏の弁だ。
同プログラムは、財団法人の企業経営通信学院の協力を得て、開発されたものだが、学生にとってみれば自己のキャリアを描く上で、実践的に役立つという点がうけているという点もあるとみられる。こうしたコースの設定は、その後、大谷女子短期大学でも採用されるようになっており、今後、徐々に拡大していくかもしれない。
(日刊工業新聞社・流通サービス新聞 1999年4月23日)