高校生の販売士2級受験を指導して

-実社会で活躍できる力めざし、今年も3名合格-

本校は創立104年の伝統をもつ男子校であり各学年7クラス、生徒総数840名の国際経済科・情報管理科・商業科の3学科からなる商業高校であります。昨年4月に仙台市の泉地区に新築移転し、施設設備を整えて実社会で活躍できる職業人の育成を目指し、よりよい指導のあり方を追求しているところです。

移転と同時に、マーケティング室を新設し、POSシステムの導入を図りながら、同時にインターネットを活用した経営・販売情報の収集に努めており、集めた情報を販売士の指導に生かしています。

販売士2級受験の指導は、商業科5クラスの課題研究の選択授業で実施しており、本年度の販売士2級講座は、希望生徒を対象とし23名でスタートしました。課題研究の授業は7つの講座に分かれており、その1つの講座が販売士2級コースで、2単位の授業となっています。時間的に不足しているように思われますが、商業科に在籍している生徒は、1~2年次において流通経済・マーケティング・情報処理・簿記・文書処理などの科目を学んできており、その中で販売士検定の受験科目である常識・仕入技術管理・販売技術管理・商品知識(総論分野)等の内容も既に数多く学習し、基本的知識を身に付けてきているので、課題研究の授業では、販売士に必要な専門的知識を中心に指導しています。

特に、仕入技術管理や販売技術管理の分野では、プロの技術や戦略が数多く取り扱われているので、こうした専門的内容を重点的に指導しています。また、販売士2級の受験科目の中の指導養成や商品知識(専門品)の学習では、販売現場での体験が乏しいために理解しにくい面が含まれています。すなわち、人事管理などの売り場主任等の役割を果たすために必要となる内容を含んでおり、実務経験の乏しい高校生にとっては難しい学習であると言えます。

しかし、売り場主任等の役割を考えるための学習としては大変有効であり、将来責任ある仕事を積極的にしてみたいと考えている生徒にとっては、挑戦する価値のある学習であります。実社会で営業や販売のプロとして活躍するための能力を身に付けるための内容としては、販売士2級で取り扱われている内容は質の高い実践に生かせる内容を多く含んでおり、多くの生徒に指導を試みたい内容であります。

次に、本校での課題研究の授業展開について紹介します。販売士2級の指導は、資格取得にこだわった指導ではなく、販売のプロを目指しながら資質の向上を目的とした指導を中心に行っています。具体的には、販売士2級の受験科目について、販売士ハンドブックの内容を分かりやすく解説しながら、疑問点に答える指導を行っています。そして、学習進度に応じた問題を示しながら、事例ごとに内容の理解ができるよう指導しています。

さらに、販売現場での実体験に乏しい生徒の理解を深めるため、販売現場や職場の人事管理の場面を収録したビデオソフトを活用し、実践的な内容が理解しやすいよう工夫しています。図書室のビデオライブラリーには、販売技術や仕入技術及び各種のマーケティングに関するソフトを50作品程度準備しており、生徒が自由に視聴し、販売に関する理解を深めるのに大いに役立っています。この他、本校では販売士としての資質の向上を目的として外部講師(デパートの販売担当者など)を依頼し、商品陳列や商品包装の実習及び接客方法等について指導を受けながら販売士に必要な理解を深めています。

課題研究の販売士2級コースの授業で学んだ内容は、将来の進路が進学や就職にかかわらず、意義ある学習として実社会で活躍できる力になると確信しています。私はこれまで販売士3級の指導を5年ほど行ってきましたが、より専門的な指導を目指し、昨年度から販売士2級の指導に取り組んでいます。初年度は4名が合格し、生徒と共に喜び合いました。今年も昨年に続いて3名が合格しましたが、来年度はより一層魅力ある授業を目指し、指導法に工夫を加えながら、授業を展開していきたいと考えています。

(仙台商業高等学校教諭 梶原 純一)
『販売士』2001年1月号