わが校が取り組む「販売士」育成活動(2)
和光大学(東京・町田市)
本誌では、「販売士」育成に熱心に取り組んでいる大学、高校などを紹介する企画“わが校が取り組む「販売士」育成活動”を連載していますが、今回は和光大学を紹介します。今回は、同大学経済経営学部の井出健二郎教授よりご寄稿頂きました。
和光大学(白石昌夫学長)は、東京都町田市と神奈川県川崎市とにまたがる東京都下にあります。交通網で言いますと、新宿駅からは私鉄小田急線を利用し、20~30分の乗車で、最寄り駅鶴川駅に到着します。多摩丘陵までとは言いませんが、鶴川駅から徒歩15分ほどの丘の上にある大学です(埼玉県の和光市にはございません!笑)。
1966年に設立されましたので、今年で創立41年目を迎える中堅大学と言えます。大学は、学生数約4,000人ほどで、3学部7学科より構成されています。現代人間学部、表現学部そして経済経営学部です。販売士育成にかかわっては、経済経営学部(上野哲郎学部長)内に設置されている進路委員会(飫冨延久委員長)が主導でおこなっております。
さて、「資格取得講座」は、2007年度において以下のようなものが運用しています。
① 日商簿記検定取得講座
② 販売士取得講座
③ シスアド取得講座
④ カラーコーディネータ取得講座
⑤ TOEIC取得講座
こうした講座の中でも、当初から積極的でしたのが、販売士取得講座ということになります。
◎外部委託による講座開設
販売士取得講座は、具体的に販売士3級講座と販売士2級講座に2つに分けられます。また、3級の講座は、春学期(前期)、秋学期(後期)の2回設定しています。大学の規模から申しましても受講生が何百人、というものではありません。1ターム35・40人前後の受講となります。そうした意味ではこじんまりしているわけですが、ケアするという点では適正数なのかという印象を持っています。
取得講座ですので、学内教員が担当するよりプロフェッションの方にお願いし、その合格率を上げるよう努めております。本学の場合は、経営能力開発センターに委託しております。
さて、受講者ですが、もちろん3年生の受講も多いわけです。就職活動に向けてのキャリアアップという一面が影響しているのでしょう。しかし、実は受講者のトップが1年生であることはひとつの特徴かと思っています。教員側も販売士のよさ、講座のよさをアピールするわけですが、それでも1年生から販売士講座にかかわっての学習意欲は特筆するものがあります。
また、驚くのが合格率です。以前は、99%を越える合格率をあげたこともありました。試験制度の変化によって、そこまでの合格率ではないものの、70%を越える合格率を上げることができ、親身にご指導いただいている経営能力開発センターの講師の先生には感謝に堪えないところであります。
◎広がる検定資格の輪
おかげさまで販売士取得講座については、受講数、合格率等は順調に一定の質・量を保っています。販売士取得講座もより高度なレベルの講座設定も今後検討する時期に入ってきました。
そうした一連の過程でうれしいことがあります。現在、開講している資格講座についてはご紹介したところですが、実はその中には販売士の派生としてニーズがあったものもあるわけです。
その最たるものが、「カラーコーディネータ」に関する資格講座です。販売士の知識として、やはり色・カラーにかかわるものがあります。専門外ですが、商品コンセプトに合う色、建物の色、そして流行の色、視覚にうったえるという点では大きな影響があります。学生から、「販売士講座については一定の満足があった。次はカラーコーディネータに挑戦したい」といううれしい悲鳴のもと、講座開設となった事実があります。
また、以前から勧めていた「簿記」についても相乗的な効果が出た気がします。「資格」が絶対とは思っていませんが、一つ取得すると、レベルアップあるいは他にも何かひとつというモチベーションはあるのだなぁと実感しています。小生のゼミ(会計学)でも、予想以上に「販売士3級」「販売士2級」「簿記3級」「簿記2級」の資格を取得している学生がいることに、こちらがびっくりしてしまうほどです。
◎今後の展開として
さらには、これまでに資格に興味の薄かった現代人間学部、表現学部の学生が販売士の資格にチャレンジしてくれるという、大学全体にとってもよい効果が出ています。
今後は、販売士取得講座を責任を持って継続させていくことです。ただし、資格は一つの通過点であり、販売士の資格を持ったヒト、そうした人材を有する企業の良さを、学生に伝え理解してもらうことも必要と思います。すなわち、販売士つながりでの「インターンシップ体制」をつくりあげていくことを目標としています。是非とも、こうした地道な本学の取り組みをご理解いただき、協働していただける企業さんがございますことを期待しております。小さな大学ではございますが、『知的冒険大学』(今年度の本学のキーフレーズです)として、今後とも販売士取得にも取り組んでいきたいと思っております。