トーハン

取得目指す人支援

-通信教育費を補助-

日本商工会議所が実施している「小売商(販売士)試験」1級と2級に絞って資格取得の奨励を行っているユニークな企業がある。東京・新宿に本社を構える書籍取次業の大手「トーハン」がそれだ。

同社は、全国の書店に対し積極的に提案営業を展開している。それには、高度な販売スキルを身につけた小売商1、2級、あるいは中小企業診断士などの資格を持っていることが必要になる。このため、その取得に関し、通信教育費などの補助を行っている。

通信教育費補助制度がスタートしたのは、89年のこと。今年で10年目となるが、小売商資格の場合、毎回1級が数人、2級が同じく4、50人程度が合格している。現在までで、1級合格者は累計63人、2級合格者も同じく計229人に上っている。

過去約10年間の蓄積で、同社営業マンの1割以上が有資格者となった。「資格保有者の増加は、モラルアップの上からも好影響を与えている」(人事部能力開発室)という。

また、同社では小売商1級資格保有者に対しては、名刺に資格を印刷するとともに、給与面でも、月額5,000円を資格手当てとして支給している。「小売商1級試験を持っているということは、営業相手となる書店からも信頼の目でみられる」ためだ。

今後も、資格取得の補助は継続する予定で、空前の出版不況を営業活動のスキルアップで乗り切る考えだ。

(日刊工業新聞社・流通サービス新聞 1998年8月28日)

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