東京クラウン

全部門で取得奨励

全部門で取得奨励 ―社内モラール向上―

過去十数年間にわたって資格奨励を行い、業容拡大を図っている企業がある。東京都江東区に本社を持ち、文具・事務用品卸を行っている「東京クラウン」がそれだ。

同社は1947年に創業した老舗で、業界でも準大手に属している中堅企業。従業員は230人で、売上高は98年6月期の実績ベースで136億円。

東京クラウンが販売士試験資格取得に取り組み始めたのは、「販売士試験が始まった時とほぼ同時期」(総務部)というから相当古い。会社が試験のための通信教育費講習料と受験料を補助している。

販売士の受験者は東京クラウンの場合、営業部門のみならず全部門に及んでいるのが特色。同社では、営業は顧客である各文具店に対し提案営業を行っているので、販売活動に販売士資格が直接役立っている。しかし、同社では財務、経理、そして総務部門でも資格取得を奨励している。

この点について同社では、「販売についての一般常識を各部門で共有できることで、社内のコミュニケーションの密度が高まる」というメリットを挙げている。

現在の社内有資格者は、2級が15人、3級が50人と、全従業員の1/4以上に上っている。

過去1年以上消費不況が続き、同業他社が売上高の面で、軒並み前年割れを続けている中で、同社が前年比横ばいと比較的好調な実績を上げているのも、販売士資格取得を奨励し、社内モラールが向上しているためといってよいだろう。

(日刊工業新聞社・流通サービス新聞 1999年1月29日)