■わが社の人材育成と販売士への期待―

「挑戦」「努力」「迅速」を掲げ

仙台・㈱阿部蒲鉾店社長 阿部 秀一

わが社は、昭和10年に仙台名産“笹かまぼこ”の生産・販売を目的として創業されました。

“笹かまぼこ”の起源は、江戸中期に始まると言われております。その頃、仙台湾で豊富に獲れた平目を、仙台城下まで売りに来て、売れ残ると、その当時、冷蔵庫などありませんでしたので、鮮度が落ちて売物にならず、なんとか利用方法がないかと考え、作られたのが“笹かまぼこ”と言われており、当時は、高級料理の一品として喰べられていたようです。

明治時代に、漁船の動力化、漁法の機械化が進み、仙台湾で吉次(きちじ)が大量に獲れ、この魚を原料として笹かまぼこが一般大衆の皆さんに喰べられるようになりました。また、その形状から“笹かまぼこ”“木の葉かまぼこ”“手の平かまぼこ”“ベロかまぼこ”等、店によって呼び名がマチマチでした。

昭和22年頃より、戦災で焼野原となった仙台の復興を願う仙台市民が七夕祭を復活させ、年々賑やかになり、また、飾り物も和紙を使った華美なものとなり全国に名を馳せるようになりましたが、それにつれて笹かまぼこも仙台の名物として定着をし、今日に至っております。

さて、わが社には現在社員200名、パート150名の従業員がおり、仙台市を中心に宮城県内、盛岡市、山形市、福島市、郡山市に直営店、テナント店を含め約50店舗を展開しております。

わが社は“おいしい”“安心”“安全”な笹かまぼこをご提供すると共に、「お客様がご満足される接客」をモットーとしております。

わが社の社訓は「挑戦」「努力」「迅速」で、常に現状に満足せず、マンネリにならないよう仕事に挑戦すること。また、努力なくして良い結果は得られないわけですので、日々の小さな努力を惜しまないように、さらに、現代はドッグイヤーと言われるように変化の早い時代ですので、何事もスピィーディに進めるよう指導をしております。

特に社員の資格取得には、積極的に挑戦をさせております。即ち、生産部門の者は「蒲鉾技能士」の資格を、営業部門の者には「販売士」の資格を、また、その他の部門においても、職務遂行上必要な資格の取得に挑戦させております。

現在、蒲鉾技能士の資格者は、1級が2名、2級が13名おりますが、工場入口に名札を掲示し、仕事に対する責任と更なる技術の向上を目指すと共に、資格取得への意識喚起を図っております。

一方、販売士の資格者は、1級1名、2級23名、3級57名の計81名おり、資格者は、級毎に色分けしたワッペンをつけ、お客様の相談者として活躍しております。会社では、販売士の資格は販売に従事する者全員が取得するよう指導しております。

商売にとって商品は勿論大事な物でありますが、この商品をお客様に気持よくお買上げいただくためには、従業員の接客技術、マナー、商品知識を向上させることが大変重要であり、販売士が会社とお客様のパイプ役としてますます活躍することを期待しております。会社としては、このように社員が資格取得に挑戦することにより、社内の活性化と、将来を担う人材を育成し、会社のさらなる繁栄と社員のしあわせを追求していきたいと念顧しております。

(仙台販売士協会会長)
『販売士』2001年9月号