直営店方式で「味と品質」にこだわり

―会長・社長からパートまで、“販売士”を取得!―

福岡市・(株)ふくや

㈱ふくや本店内
㈱ふくや本店内

日本で初めて明太子を製造・販売し、今では“味の明太子”として全国的にも知られる「㈱ふくや」は同社の創業地、博多の中心街中州に、企業イメージにふさわしい明るく清楚な本社ビルを構え、先進的な工場と共に福岡を主体に東京などを含め、各地に39の直営店を持つ社員600名の老舗企業である。

同社は昭和23年10月の創業以来、企業理念として「強い会社・良い会社」を掲げ、この55年間一貫して売上至上主義をとらず、“味と品質”をモットーに自社生産と直営店による販売にこだわり続けている。その理由は、明太子は“生もの”であるということ。明太子の命である「品質と鮮度管理」が行き届くよう、自社生産できる量だけをつくり、客の手に渡るまで責任を持って見届けられる直販での商いに徹し、今日の業界トップの座を築いている。

同社を訪ねてみて、まず、「人が育つ会社」という印象を強くうけた。川原正孝社長によれば、社員教育は、新入社員教育と一部研修以外は会社が与えるものではなく、社員の自発性に基づくものと考えているので、各人が自ら「こんな能力を身につけたい」とか「こんな資格を取りたい」といって勉強する風土が生まれるような環境づくりだけを心掛けているとのこと。社員の自己啓発意欲は高く、会長、社長が真先に1級販売士を取り範を示したこともあって、今では、はぼ全員が3級を取得し、2級販売士も100名を超えている。

資格取得の目的について、川原社長は「仕事にはそれぞれ固有の基本があるはず。まずは、その基本を知ることが出発点。資格はその基本のことだ。基本の上に必要な経験を積み重ねて初めて実践力が高められていく」と。

事実、社長のこの言葉どおり、資格取得は販売士のみならず、技術分野などまで多岐にわたっている。最近では、パート社員の中からも販売士の取得者が出始めているように、社員の間に自立意識が芽生えている。社員間のコミュニケーションの良さやマナーのすばらしさにも感動した。

大きく変わりつつある時代への適応という面で、「販売に携わる人材の能力をどう高めていくかは大事な課題だ。このことは、販売士協会やその資格取得者と企業の共通テーマかもしれない」と私共の活動に川原社長から期待と励ましをいただいた。

会社概要

社長 川原 正孝
工場 福岡市東区
資本金 1億9千万円
売上高 178億円(平成13年度)
従業員数 600名

(福岡販売士協会 副会長 石原義曠)