㈱エトワール海渡
2級販売士が452名、小売店主相手に活躍
-全国に25,000店の会員をもつ総合商社-
東京・日本橋馬喰町。繊維の卸問屋が集まるこの街に、通称「エトワールビレッジ」と呼ばれる一角がある。販売と仕入の決済を現金で行うファッション商品の総合卸、㈱エトワール海渡(社長・海渡五郎氏)の自社ビル30あまりが軒を連ねている。
1902年創業の同社は、現在全国各地の小売店25,000を会員として、繊維・雑貨・食関連のファッション商品(商品数約30万点)を卸売りしている。4つの営業ビルに売場があり、百貨店のように商品を陳列し、営業部員(店員)がいる。そこに全国各地から小売店主がやって来て、自分の店で売る商品を仕入れていく。
営業部員は小売店主を相手にするので、商品知識はもちろんのこと、小売店の事情や商品の売り方、ディスプレイの仕方など豊富な営業知識が必要になる。そこで同社は、昭和53年より会社として販売士資格取得を奨励し始め、とくに2級取得を奨励している。
現在、同社の従業員は約1,000名。うち1級が2名(男)、2級が452名(男189名、女263名)、3級が186名(男49名、女137名)。全従業員の64%が販売士の有資格者である。
昨年(平成12年度)は71名が2級を受験して64名が合格、合格率は実に90%。今年は54~60名が2級に挑戦する。有資格者のうち女性が400名で全体の62.5%を占めている。
人事部長の有賀俊文氏は、「全社員を一定のレベルに引き上げるため2級を取らせたいと思っています。次のステップとしてだんだん1級も…と考えています。多くの社員は通信講座を受講しています。自己負担でやっていますが、申込みは会社が一括しております。合格者にはお祝いとして一時金を支給し、資格手当も毎月支給しています」と奨励策を語る。さらに続けて、販売士制度の利点につき次のように述べた。
「従業員が“販売士”を勉強しておくことによって、小売店の事情や小売店の方々の話や悩みがよく分かり、売場でのディスプレイの仕方や売り方、商品のラッピングなどのご相談にも応じられます。また、小売店やお客さまからの情報も広く聞くことができるようになり、それが会社としては次の品揃えや商品政策、商品開発に役立ちます。販売士ハンドブックでは“販売”ということを体系的に学ぶことができ、実践的に学べるので非常に役に立ちます」
エトワール海渡の営業拠点は東京のみ。従って、同社にとっては自費を使って東京に仕入にくる小売店主に対する商品提案力が生命線になる。一般小売店にとっては、品揃えによる他店との差別化が重要であり、そのニーズに応えるため、同社は自社ブランドのオリジナル商品の開発に非常に力を入れている。その開発の中心が営業とバイヤーを中心とする販売士の方々である。
販売士受験者数と合格者数
3級 | 2級 | |||||
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受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2001 | 0 | 54~60 | ||||
2000 | 16 | 14 | 88% | 71 | 64 | 90% |
1999 | 20 | 15 | 75% | 55 | 51 | 93% |
1998 | 11 | 7 | 64% | 79 | 66 | 84% |
会社概要
本社所在地 | 東京都中央区日本橋馬喰町 |
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従業員数 | 1,000名(うち、女性700名) |
売上高 | 454億円(平成13年3月期) |
事業内容 | 衣食住にわたるファッション関連商品を取り扱う総合卸売商社 |
(広報委員 渡辺清高)
『販売士』2001年9月号