婦人服の新しいデザイン創造

─社員の自己啓発目指して─

北九州市小倉北区・(株)ルネ

(株)ルネの外観

新幹線「ひかりレールスター」が本州と九州を結ぶ関門海底トンネルを潜りぬけると、九州の玄関口、北九州市の小倉駅に到着する。
車窓からは直ぐに、高く林立する煙突の群れが目に飛び込んでくる。小倉はその昔、石炭の筑豊炭田を背後に有し、明治の初め官営八幡製鉄所が発祥した地であり、化学工場も立地する一大工業地帯である。
この「無法松の一生」「小倉祇園太鼓」に表徴される男の町に、婦人服のデザイン企画・製造会社が誕生している。
(株)ルネは北九州市において、昭和54年、婦人服の販売店として創業された。その後、婦人服の新しいデザインの創造をめざして婦人服の企画・製造・販売(卸・小売)企業として発展してきた。

販路は全国にまたがり、全国の百貨店・専門店に卸している他、直営店も東京・大阪・名古屋など17店舗を展開している。
これらのデザイン、ファッションの創造と販売を支える社員は96人。社員の職業能力を向上させようと研究していたところ、北九州商工会議所の勧めもあって、平成15年から販売士制度を社内研修の一環として導入することになった。
動機は全国に散在する社員の集合研修が難しいこともあり、社内研修の一環として、また自己啓発をかねて導入したもの。

新入社員に対しては、入社年の7月に行われる3級販売士検定試験の受験(受験地は北九州商工会議所はじめ各勤務地会議所)を奨励している。これは、流通業に従事する社員としての共有すべき流通知識と内容を勉強してもらい、業務の即戦力として活かす狙いである。年により入社人数は異なるものの、ほとんどの人が合格するという。合格者には受験料及び合格祝い金を支給している。

店長は2級の取得を目指している。店舗運営管理能力、財務管理、人事管理、在庫管理等の経営に関する総合能力のアップをめざしている。現在、3級50人、2級30人の販売士が誕生している。
販売士が社内に大勢誕生した結果、業務上の意志疎通がスムースとなり、デザインや商品に対する商品知識が向上するなどのプラス面が表れている。接客の態度にも好感度で顧客に喜ばれるという。

なお、3年前に小倉駅前にオープンした百貨店(株)小倉伊勢丹でも、かつて本社で販売士制度に取り組んでいた経緯があるので、社員はじめ販売担当者に対し、自己啓発のため同制度を紹介することを考えるとしている。

会社概要

本社所在地 福岡県北九州市小倉北区馬借1-3-22
代表者 飯野 巧
売上高 20億円
資本金 3,000万円