売り場の総合力は「チームヨドバシ」で

─自分で学ぶ、社員の80%が販売士─

東京・(株)ヨドバシカメラ

販売士」のネームプレート、「商品説明」の腕章をつけた店員
販売士」のネームプレート、
「商品説明」の腕章をつけた店員

何かがちがう。とにかく気持ちがいい。店に入るのも出るのもまったく自由である。それに、店にいることが結構楽しい。そんなお店があの懐かしいCMソングで有名な「新宿西口ヨドバシカメラ」なのである。

創業は1960年、小売専門店企業のビッグ3といわれるYKKの一角を占め、2003年度の小売業一人当たりの営業利益額ランキングは国内第2位 。もちろん家電量販店業界では断然トップの堂々たる実力企業である。
今日のヨドバシカメラをつくりあげたのは初期から確固たる戦略の確立があったからにちがいない。<お客様満足>をかなえる日本初の「ポイントカード戦略」、大都市のターミナル駅そばに出店する「レールサイド戦略」、そして、情報システムを駆使した効率的な在庫管理など。現在19店舗、いたずらに多店舗化せず、集客が見込める場所に出店する戦略をとっている。

一方、特筆すべきことは店舗の充実である。「新しい価値ある商品を、お客様により安く、より多く提供していきたい」との理念のもと、社長は「私たちの日々の勤めとは、お客様に商品を売るというより、むしろお客様のお買い物のお手伝いをすることだ」と、そして「接客」、「売り場づくり」、「商品知識」、まずはこのうちのどれか一つのプロになれと全社員に訓示されている。ヨドバシのすごいところは、これがどの店舗でも確実に実行されていることである。よい例が各チームが補完し合い教育し合い、売り場の総合力を高めている「チームヨドバシ」制度の創設である。

また、本格的な社員教育への取り組みも早かった。1985年、専属講師による研修を開始。従業員の質の向上をめざしたもので、その研修効果 を高めたのが「3級販売士資格取得制度」だった。その後、社員一人一人が自主的に取得しなければならないとの責任感が芽生えたのを機に、昨年の夏、「通信教育制度」に移行した。現在、実に社員の8割が「販売士」の資格を保持している。
“定評があるヨドバシの店舗”、それはプロにチャレンジする従業員の方々を組織した「チームヨドバシ」によるものにちがいない。その従業員の胸には「販売士」であることを明記したネームプレートがつけられている。

大型家電量販店が覇権をかけて激突している営業の最前線の店舗で、<お客様満足>を叶えんと「商品説明」や「接客対応」をされている従業員の方々の一助として、さらに「販売士資格制度」が役立つよう、我々商工会議所・販売士協会としては、「認知度」を高める努力を組織をあげて実施しなければならないと痛切に思った。

会社概要

本社所在地 東京都新宿区北新宿3-20-1
代表者 代表取締役 藤沢昭和
従業員数 2,450名(2005年2月現在)
資本金 8,800万円
設立 1960年4月

(東京販売士協会常任理事 安則久雄)