小規模店をお客様のより近くに

―研修システムが体系化、3級は当たり前―

いわき市・(株)マルト

ボリュームのある陳列と店内
ボリュームのある陳列と店内

福島県いわき市で、地域限定、お客様密着型のスーパーチェーンを展開している(株)マルトグループを訪問して、スーパー激戦区において食料品シェア45%、一般医薬品シェア50%という地域一番店を維持し続けている背景を探った。

同社は明治25年に雑貨商として創業、昭和35年にスーパーマーケットに転換以来、いわき地区限定の店舗展開をはかり、食品スーパー・衣料品店・ドラッグストア・調剤薬局・酒・外食等68店舗を有している。平成15年3月期の経常利益率は4.5%、自己資本比率は62%で、無借金経営を基本とした不況に強い堅実経営を行っている。
同社の成長を支えている根底には、小規模店をより近くに出店する小商圏出店を徹底して、お客様の満足をとことん追求する売り場作りを提案していく仕組みが整備されていることが挙げられる。
 
植田地区郊外に位置するSC中岡店の西山健一さん(28歳)は入社5年目、資格制度3等級で階層は主任である。西山さんは、「主任」とは当たり前の仕事ができ、「お客様の満足を求めて日々改善していくのが仕事」と語る。また、石山伯夫労務課長は、「企業にとってマンパワーこそ全て。人作りの基本は良い仕組みに支えられた「やる気」と「腕前」作りにあり、体系化された教育研修システムと資格制度・階層制がそれを支えている」と話していた。
 
同社の資格3等級(主任)になるには販売士2級、5等級(店長)には販売士1級が昇級条件とされている。現在、販売士1級は6人、2級は170人が在籍しており、3級は当たり前ということで会社として把握していない。さらに去年から、パートも主任・店長に育てていく方針となり、販売士資格手当をつけている。今年1名が販売士2級に合格した。
トップの毅然とした経営方針が人を活かし企業成長の基盤となっている。

会社概要

従業員数 1,851名
(正社員662名、パート1,189名)
売上高 600億円
(平成15年3月期)
資本金 1億7,600万円
設立 昭和39年
事業内容 生鮮食料品・日用品・雑貨・衣料品・医薬品、調剤業務、外食産業

(福島・経営コンサルタント 伊藤修二)