“販売士”は各売場間の共通言語
―高級化路線で都市型百貨店をめざす―
郡山市・(株)うすい百貨店
お客様に商品説明をする販売士
うすい百貨店はJR郡山駅より徒歩5分の中心市街地にあり、駅前大通りを国道4号に向かいうすい通り(中央通り)を左に折れた中町再開発地域の中心施設。 創業は物産問屋として寛文2年(1662年)、昭和42年に法人化し百貨店に業態を変更した。平成11年に全面建て替えをして東北最大級の都市型百貨店として生れ変わった。ルイ・ヴィトン等をテナントに高級化路線を展開しており、中心市街地の特性を活かして文化創造にも貢献している。
同社では10数年前から、希望者に社員教育の一環として販売士資格を取得するように勧めてきた。社内勉強会では、3級から2級へとステップアップを行い、課長、副部長クラスはほとんど全員が取得している。特に昇進の条件とはしていないが手当はついている。現在の資格取得者は2級19人、3級26人で合計45名となっている。
平成14年度の経営方針に「社員の意識改革」「販売員一人ひとりの販売力の強化」を掲げ、人の力・サービス強化を目指している。これらの背景には「施設や品物の量・商品構成」は充実したが、郡山でも新設施設や郊外の大型施設との競争激化という商業環境にある。
資格所持者は男性の方が多いが、営業推進部副部長の大越真一さんは、勉強会を始めた当初に3級を取得、後に2級を取得している。販売士で得た知識は「作業標準となる販売知識」と位置付けられていると話していた。具体的な店づくりにも恒常的に活用されており、販売企画面では季節毎の大きな催事企画を「1階から10階までの総合企画コンセプト」として提示すると、売場の課長が販売促進として「AIDMA」を個別に展開する。各売場との共通知識・共通言語となっており、販売活動の一連の業務に有効と話している。
販売の現場では、多様化する価値観やライフスタイルの変化に幅広く対応しており、お客様一人ひとりのニーズに対応できる「おもてなしの心を持ってお客様にゆったりとお買い物をしていただく」ために、販売員の接客力を重視して「お客様との会話や商品知識を活かしたお勧めを大切に」と、朝礼等を通して「挨拶をする・声を出す」等具体的な販売員一人ひとりの販売力強化に取り組んでいる。
会社概要
本社所在地 | 福島県郡山市 |
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従業員数 | 380名 |
売上高 | 172億円 |
(福島・経営コンサルタント 伊藤修二)
『販売士』2002年5月号