学習と商品開発・販売実習が知識の定着に有効

校舎1

岐阜県立大垣商業高等学校は、1902年(明治35年)に設立された大垣商業学校、ならびに1942年(昭和17年)4月に設立された大垣市立女子商業学校が母体であり、1948年(昭和23年)以降の学制改革や学区制の実施等を経て、1951年(昭和26年)4月に設立された。
同校の「伝統訓」である「士魂商才」は「人のため社会のために勇気と使命感を持って行動する精神」と「広く産業社会に貢献しうる知性と能力」のことを指している。同校では「自分自身を厳しく錬磨し知性と能力を身に付けた有為な産業人」つまり、豊かな社会の実現のために自己の才能を生かすことができる人材を育成することを目標としている。

校舎2

同校教諭の廣瀬敏之氏を訪問し、総合ビジネス科での取り組みに関してお話をお聞きした。

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【廣瀬敏之氏へのインタビュー】

〇学習の取り組み
リテールマーケティング(販売士)検定試験の内容についてですが、2年生は「マーケティング」科目、3年生は「商品開発」と「マーケティング」科目で対応、指導しています。
総合ビジネス科のマーケティング類型では、ビジネスの専門知識としてマーケティングについて学習します。学習の中では、具体的に、売れる商品の情報収集や陳列方法、価格の決め方、販売戦略などを学びます。さらに、商品開発など消費者ニーズを的確にとらえる力を養います。あわせて、パソコンを活用したプレゼンテーション、コミュニケーション能力の向上を図ることにより、アイデアや企画について発表できる力を養成し、実社会で即戦力として活躍できる人材を育成します。
2年生の「マーケティング」科目、3年生の「商品開発」・「マーケティング」科目で学習した知識の修得度や達成度を確認する趣旨で、2年生でリテールマーケティング検定試験の3級または2級を受験します。
生徒が学習・修得した内容が、実際に商品開発と販売実習に生かされ、知識として定着させることができることを実感しています。このことから、学習の取り組みとして効果的であると評価しています。

〇学習の意義
リテールマーケティング3級では、販売業の基礎を学ぶことができます。買物など、生活の中で触れ合うような事項が学習内容に多く含まれており、進路が販売業でない生徒にとっても学習は有益となります。さらに、店舗で、なぜそのような陳列をしているかということを考えることによって、知識は豊かなものになります。また、売り手を一人の人間として理解して接することも、コミュニケーションのスキル向上につながります。生徒には、学習や体験を通じて広い視野で物事をみることを身に着けられるよう指導しています。総合ビジネス科の「マーケティング類型」では、3年生の授業で商品開発に取り組みます。2年生の段階で、3級および2級の内容を学び、基礎知識を習得すると、3年の「商品開発」の学習にも役に立ちます。

〇商品開発の取り組み
地元の株式会社河合寿司(代表者:河合敏直氏)に共同開発に協力していただいています。例年、6月頃から商品開発を開始して9月頃に試作品が完成し、11月に行われる「西美濃まるごとバザール」で販売します。

特別授業

【株式会社河合寿司の河合社長による特別授業】

〇就職先での知識活用
学生の中には販売職に就く生徒がいます。例えば、セントレア(中部国際空港)に出店している企業に内定している生徒は、土産品などを販売することになりますが、2年間の勉強が活かせると思います。

〇今後の目標
検定試験対策の授業ではなく、授業の中で並行して指導しているため時間がないというのが実情ですが、合格率のアップを目標とし、さらには、クラス全員、つまり、合格率100%を目指したいと思います。

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【生徒へのインタビュー】

2019年7月のリテールマーケティング(販売士)2級検定試験に合格した総合ビジネス科マーケティング類型3年生の加納小希帆さんに、「第28回西美濃まるごとバザール」の会場でインタビューをさせていただいた。

加納さん

「今回の『まるごとバザール』での販売実習に向けて、みんなで、販売士の学習を踏まえて、見やすいディスプレイ方法を考えました。デザインを考えて作ったポスターを設置したり、チラシをたくさん貼ったり、お客さんに注目してもらえるようにするということを意識してがんばりました。」

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販売実習1

販売実習2

販売実習3

【新商品の「まんまるトリオ」。「カボチャと豆」、「ジャガイモとチーズ」、「サツマイモとタマネギ」の3個のセット。加納さんのアイデアに基づく商品。】

※校舎・教室以外の写真は「第28回西美濃まるごとバザール(2019年11月16日~17日)」会場で撮影

学校概要等

学校名 岐阜県立大垣商業高等学校
所在地 〒503-0002 岐阜県大垣市開発町4丁目300番地
創立 1902年(明治35年)※大垣商業学校
設置学科 総合ビジネス科、会計科、情報科
在籍生徒数 756名(2020年1月8日現在)
販売士合格者数(2019年12月現在) リテールマーケティング(販売士)2級 21名、3級 18名
※総合ビジネス科マーケティング類型の3年生のみ。