独自科目を含む3科目で販売士2級まで挑戦
【3科目体制で販売士合格者を多数輩出】
福岡県公立古賀竟成館(きょうせいかん)高等学校は、福岡県古賀市、福津市、新宮町(糟屋郡)の組合組織で運営される公立高校であり、普通科と総合ビジネス科の2学科がある。総合ビジネス科は「会計コース」と「マーケティングコース」に分かれ、マーケティングコースでは2年次から3年次にかけてリテールマーケティング(販売士)検定試験を3~2級まで挑戦させている。
2年生は「マーケティング」科目で3級を受験し、3年生は高校独自設定科目である「販売士演習」科目で、3級合格者は2級に挑戦し、再チャレンジの生徒は再び3級に挑戦する。そして、福元麻衣子教諭が担当する「課題研究(ゼミ)」では検定受験フォローも行っている。このような手厚い体制のもと、2018年度には20名を超える販売士合格者を輩出している。
【販売士の学びは「チャレンジショップ」とセットで】
同校では毎年、11月はじめに開催される地元の「まつり新宮」で、生徒が店舗経営体験を行う「チャレンジショップ」を出店しており、マーケティングコースではマーケティング科目の取り組みとして、生徒自ら商品販売を行っている。10~11月は検定学習が落ち着く時期であることから、仕入商品の選定・味見のほか、オリジナル商品制作やPOP広告の準備などを行わせているという。
【写真:「第30回まつり新宮(2019年11月3日)」でのチャレンジショップ】
「アルバイトができない高校生でも、現場のイメージがつきます。後から販売士の授業で『まつりではこうだったよね!』と、具体例として使うことができ、結果として販売士の検定対策になっています。」(福元麻衣子教諭)
【販売士にほれ込んだ福元教諭】
福岡県教育委員会では、県内商業科教諭への販売士資格取得を強く推奨していた。福元教諭は、もともと大学時代にマーケティングを専攻していたこともあり、教諭向けの販売士1級研修にも参加していた。
「とても面白くて、販売士の学習内容にほれ込みました。中学校向けの出前講座でも包装体験をやらせてみたり、コンビニの陳列の話をしたりしています。生徒たちも楽しんでくれますし、普通科と差別化する意味でも非常に役立っています。」(福元教諭)
【写真:チャレンジショップ】
【授業中も双方向で】
福元教諭は販売士の学習を進める際、「双方向型」での対話を心がけている。
「私自身がマーケティングは身近な学びなので好きでした。高校生は座学が基本なので『どう食いつかせるか』が重要になります。なので、常に私自身の毎日の経験を伝えていくようにしており、授業中はまず『昨日の買物のときこんなことがあって・・・』と、生徒との会話からスタートです。」(福元教諭)
【写真:チャレンジショップ】
【会計コースの子も注目する販売士】
福元教諭の課題研究は、コースに関係なく所属できることから、最近は「会計コース」の生徒も販売士受験に興味を持ち、福元ゼミに入ってくるようになってきたそうだ。
「会計コースの子が入ってくると、マーケティングコースの子にも張り合いが出ます。会計コースの子は計算系に強いですし。その一方で、会計だけではわからなかった流通や小売の話はマーケティングコースの子がよく知っていたりするので、盛り上がります。」(福元教諭)
【今後のビジョン】
取材の中では、終始「生徒たちとの掛け合いが楽しい」とおっしゃる福元教諭の笑顔が印象的であった。販売士検定を推奨してきた福岡県で、手厚い販売士指導を行っている古賀竟成館にあって、福元教諭は今後のビジョンをこう語る。
「いままでは『検定』が中心になっていましたが、今後はチャレンジショップでも商品の企画段階から生徒に関わらせるなど、さらに色々な社会経験をさせたいです。高校を出てからも販売士の学びを続けたいと思ってもらえるのが理想ですね。」(福元教諭)
【写真:「第30回まつり新宮」での同校「チアリーディング部」(顧問:福元麻衣子教諭)のパフォーマンス】
<2019・2020年度広報委員 高見啓一>
学校概要
学校名 | 福岡県公立古賀竟成館(きょうせいかん)高等学校 | |
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所在地 | 〒811-3103 福岡県古賀市中央2丁目12番1号 | |
設立 | 1962年4月 | |
設置学科 | 普通科、総合ビジネス科在籍生徒数 | 650名(2019年4月1日現在) |
リテールマーケテイング(販売士)検定試験合格者数
2019年度(7月まで) | 2級2名、3級13名 |
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2018年度 | 2級1名、3級21名 |
2017年度 | 3級5名 |
2016年度 | 2級1名、3級8名 |