音楽ビジネスでも役に立つ販売士の知識
尚美学園は建学の精神として、美を尊重し(尚美)、高い教養(全人教育)の叡智と思いやりの慈愛を育む「智と愛」を掲げている。同学園は、1926年(大正15年)に現在の東京都文京区に開設された「尚美音楽院」が起源であり、開設時の教育方針は、「誠実な人間・豊かな教養、有為な音楽教養人の育成」であった。
同学園は、2000年に、尚美学園短期大学を改組・転換し、芸術情報学部および総合政策学部を設置する尚美学園大学を開学した。
今回は、芸術情報学部において「起業論」、「会計&経営モデル演習」他の科目を担当している准教授(経営学博士)の八木良太氏を訪問してお話をお聞きした。
【音楽応用学科「音楽ビジネスコース」のカリキュラム】
芸術情報学部音楽応用学科「音楽ビジネスコース」では、音楽ビジネスの第一線で活躍する各分野のスペシャリストが講師を務めており、卒業後の進路に不可欠な知識と技術を習得します。
同コースでは、楽器店やCD店、音楽配信事業者などの音楽関連小売業を含む音楽業界で活躍できる人材を育成するために、音楽ビジネスやアーティストマネジメントに必要な基本的知識を学びます。その一環で、著作権などの権利ビジネスに関する知識を習得するため、国家試験である知的財産管理技能検定2級・3級やビジネス著作権検定初級・上級の取得(検定試験合格)を推奨しています。
また、あわせて、経営学の基礎を身に付ける目的で、リテールマーケティング(販売士)2級・3級検定試験の取得(検定試験合格)を推奨しています。
【販売士3級の学習内容の活用】
音楽ビジネスコースでは、必修の「基礎演習科目」として、販売士3級の学習内容を学びます。現在、2年生の約40名が受講し、学習に取り組んでいます。
音楽ビジネスを志す学生にとって、経営学、なかでもマーケティングの知識の修得が有益であると考えています。就職活動において、音楽業界のほか、アパレルや雑貨等の小売業を目指す学生にとっても、この知識は役に立ちます。
本学科は、2015年4月に新設されたため、来年(2019年)3月に第1期生が卒業します。この4年生の進路は、コンサートイベントの企画・運営、CDの企画・制作、音楽関係の出版、音楽の配信等の業種のほか、楽器やCD等の音楽関係の小売業、さらには、音楽関連以外のアパレルや雑貨等の小売業などです。
【学生へのメッセージ】
今の音楽業界で求められているのは、「新たな音楽やビジネスをクリエイトする能力」や「アーティストや音楽コンテンツを経営学的な思考でマネジメントできる能力」をもつ人材です。これらの能力をバランスよく身に付けることによって未来が開けます。2年生の段階で販売士3級を取得すれば、自身の努力の成果としてアピールでき、自信をもって就職活動に取り組むことができると思います。
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「基礎演習科目」の授業は、2018年9月から、日本販売士協会登録講師の清水敏行氏が担当している。
同氏から、学生の皆さんに対するメッセージをいただいた。
【受講生へのメッセージ】
販売士3級について、小売業の類型科目では、さまざまな小売業態を学習します。テキストや授業だけではなく、例えば、ショッピングセンターで商品のブランドに注目して店舗を見たり、商店街では、どのような状況になっているかを観察したり、学習内容を踏まえて、自分なりに勉強してみたらどうでしょうか。また、ストアオペレーション科目ですが、いろいろな店舗を実際に見て、よいディスプレイはどのようなものか、悪いディスプレイはどのようなものか、ぜひ見比べてみてほしいと思います。このような取り組みは、知識を修得し、定着させるのに大変有効だと思います。
授業は、後期の15コマであり、5科目分の時間としては、必ずしも十分ではないかもしれません。このため、授業では、1科目終了後に、学生に問題を持ち帰ってもらい、自宅で解答を考えて次回の授業に出席してもらっています。
1月に実施される期末試験では、2月に実施される検定試験を意識した出題を行うつもりです。
せっかく学習するのですから、1月の定期試験を受けて単位を取得するだけではもったいないので、ぜひ、2月の検定試験にチャレンジしてほしいと思います。
学校概要
学校名 | 尚美学園大学 |
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所在地 | 〒350-1110 埼玉県川越市豊田町1-1-1 |
創立 | 1926年 |
設置学部 | 芸術情報学部、総合政策学部 |
在籍学生数 | 2,523名(2018年5月30日現在) |