文学部の強みを伸ばす「販売士」
文学部だからこそ「人と関わる仕事」に強い!
東本願寺寺内の学寮を起源とする大谷大学は、「寺院後継者の育成大学」のイメージが強いが、実際には一般の家庭の出身者も多く、近畿圏全域の学生が在籍している。また、文学部のみの単科大学だった大谷大学は、2018年4月よりメイン棟である「慶聞館(きょうもんかん)」がグランドオープンし、文学部・社会学部・教育学部の3学部体制となった。
人文系とりわけ文学部は「就職に不利」のイメージが持たれがちであるが、大谷大学には卒業後の進路として民間企業を選ぶ学生も多く、小売業やサービス業、販売職や営業職などの「人と関わる仕事」を志望する学生も多いという。教職や心理、地域や社会学といった、人と関わる分野を専攻している学生が多いことが活かされた形だ。人材不足感のある業種・職種だけに、大谷大学の大きな強みとなっている。
学生の「たまり場」に資格カウンター
大谷大学の慶聞館に入ると、1階には焼き立てパンが食べられるカフェがあり、多目的に使える学生ロビー「ミナイール・プラザ」が設けられている。この慶聞館の建築にあたっては「学生の居場所を作ろう」という方針が貫かれており、各階にそのようなフリースペースが設けられている。取材に伺った日も、学生たちが思い思いにお喋りしていたのが印象的であった。
このミナイール・プラザに面して開け放たれているのが、「キャリアセンター」である。学生たちがたまっているフロアと一体化しており、敷居が低く感じられる。「用事がなくても気楽に寄れる場所」を意識して、この「一等地」に設けられたという。
人と関わるプロフェッショナル「販売士」に根強い人気
大学におけるキャリアセンターの位置づけは年々高まっており、保護者にとっては入口(入試)と合わせて出口(就職)が一番の関心事となっている。そのような中、大谷大学では低学年次から将来を意識させる資格講座などを提供している。
教員や学芸員といった授業内で取れる資格のほか、キャリアセンターでは、販売士をはじめとする課外の自主受講コースを設けている。各種講座の中でも販売士は人気だという。
その理由は、販売は、アルバイトとも関連するため身近に感じやすく、「社会に出ること」「働くこと」のイメージづくりに役立つためだという。また、人と関わる仕事を志望する学生も多いことから、低学年次からの就活のきっかけづくりや自信につながる効果もあるという。
学生たちは「教師」「学芸員」といった漢字の資格に慣れていることもあり、「リテールマーケティング」という愛称よりは、「販売士」の方がイメージしやすいようだ。
【写真:「販売士講座」(講師は日本販売士協会登録講師の杉 律子氏)】
販売士への期待
キャリアセンターの山崎学課長、伊東みさきリーダーに販売士資格への期待を伺った。
「販売に限らず人と関わる仕事に興味を持つ学生が多く、視野を広げる意味で販売士は役立ちます。接客・対人関係能力、什器の配置など、社会人として必要な知識を販売士資格で知り、自分に自信を持ってもらえたらと思っています。キャリアセンター職員も販売士を『一押し』しています。」
販売士に合格した子は変わるか?との問いについては、
「学生が就職できるかどうかの境目は『自信』だと思っています。販売士を通じて『素手』の状態に『武器』ができます。そこから簿記など、さまざまな資格にステップアップしていくことができます。社会に出たときに『大谷大学でよかったな』と思ってもらうことが一番の希望です。」
取材を終えて
一般的な大学と異なり「まず簿記」ではなく、「まず販売士」を最初の資格として挑戦させている点が印象的であった。大学生にはこの流れの方がスムーズに学べるようだ。
<2017・2018年度広報委員 高見啓一>
学校概要等
学校名 | 大谷大学 |
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所在地 | 〒600-8143 京都府京都市北区小山上総町 |
設立 | 1901年 |
設置学部 | 文学部・社会学部・教育学部 |
在籍生徒数 | 3,130人(2018年5月1日現在) |
リテールマーケテイング(販売士)検定試験合格者数
2017年度 | 2級12名、3級17名 |
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