新入社員に販売士3級取得を奨励
合名会社明石屋菓子店は、安政元年(1854年)創業で、164年の歴史と伝統を誇る和菓子店である。店名は、当時の薩摩藩主、島津斉彬公に招かれて薩摩で菓子づくりを始めた初代の出身地である播州・明石に因む。
同店では、創業以来の伝統を守り、自然薯、米粉、砂糖だけを原料に、鹿児島の代表銘菓“軽羹”(かるかん)の製造販売を行っている。現在は、鹿児島市内に、直営店10店舗、商業施設のテナント4店舗を展開している(合計14店舗、2018年2月現在)。
【軽羹(かるかん):奥、軽羹まんじゅう:手前】
販売士資格を活用した人材育成等について、同社営業部営業企画室室長の鹿角加代子氏にお話を伺った。
学習と販売士資格取得の意義
当社では、2003年度から、新入社員に販売士3級の取得を推奨しており、受験した社員はほぼ全員が合格しています。ただし、当社としては、資格取得自体が最終的な目的ではなく、新入社員が、入社後、学習に取り組み、知識を習得してもらうことに第一の意義があると考えています。
新入社員は、店舗に配属となり、先輩社員の指導を受けながら業務を行います。OJTで実務を学びますが、必要な知識を全て教わることはできません。自ら学習して知識を習得する点で、検定試験を活用する意義が大きいと考えています。
販売士の知識の活用
販売士は、プロの販売員としての基礎知識を習得できる資格で、身に着けるべき基本的な事項が網羅されています。例えば、ストアオペレーション科目です。軽羹などの商品は贈答用にご利用いただいていますが、新入社員にとっては、包装の際、のし紙の表書きなどの知識が役に立っています。
また、店頭で、ショーケースなどのディスプレイを使用していますが、陳列に関する用語や知識も役に立っています。実際に、2級販売士のうち2名が店長を務めており、売り場づくりに知識を応用しているそうです。
会社の支援と社員への期待
新入社員は、2級を取得した社員や店舗の先輩の指導を受けて学習に取り組み、入社した年の7月にリテールマーケティング(販売士)3級検定試験を受験します。
合格すると、受験料相当額を支給し、当社専務取締役(営業本部長を兼任する岩田武氏)が、合格者一人ひとりに「販売士認定証」を手渡すことにしています。役員が直接、称賛と励ましの言葉をかけることにより、モチベーションが向上します。
販売士の知識があると、他社や他店の売り場を見る場合など見方が違ってきます。他の店舗を参考にして店づくりを学ぶこともできると思います。
当社としては、特に、新入社員には、自社内、自店内にとどまらず、他社や他店など、視野を広げ、物事を見るようになってほしいと考えています。
会社概要等
会社名 | 合名会社 明石屋菓子店 |
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本社所在地 | 〒892-0828 鹿児島県鹿児島市金生町4-16 |
代表者 | 代表社員 岩田 英明 |
従業員数 | 203名(製造部95名、営業部97名、総務部11名、2018年2月現在) |
資本金 | 1,000万円 |
創業 | 1854年(安政元年) |
事業内容 | 和菓子製造販売 |
販売士有資格者数
2級4名、3級91名(2018年2月現在)