授業と実習のデュアル・エデュケーションで販売士資格を活用
長野平青学園は、1992年(平成4年)、地域発展に資する高度な専門的知識と技能、また、豊かな人間性と教養を備えた人材の育成を目的に設立された専門学校で、専門分野の知識と技術の習得、専門能力と実践力を証明する資格の取得、資格取得の努力を通じての自主性・協調性のかん養等を教育目標としている。
同校は、地元就職率が高く、少人数制で担任の教員のきめ細やかな指導を受けられる、実習・インターンシップ・ボランティア活動を通じた現場での経験を通じての実践的な能力の育成を図っているなどの特色がある。
同校の就職キャリア開発部長の柳澤泉氏ならびに「おもてなしビジネス科」主任の小林千恵氏にお話を伺った。
販売士資格の活用と意義
当校では、従来より、販売士資格をカリキュラムに取り入れて活用しています。
本年度も「おもてなしビジネス科」(*)および「医療サポート科」の1年生が、「販売理論」科目の中で販売士3級の学習内容を学んでいます。
*2018年度「おもてなしビジネス科」は「サービス・マネジメント科」へ科名変更
販売士資格は、流通・小売の基本的な知識を習得していることをアピールできる、評価の高い資格であると認識しています。特に、流通業、サービス業、販売業への就職を志望する学生にとっては、履歴書に書くことにより、説得力の高い、セールスポイントになります。
採用する側にも、安心感と期待感を持っていただける資格です。学生の話では、就職活動の際に、販売士資格を持っていると、注目していただけているそうです。
販売士資格取得の取り組み
2017年2月に「おもてなしビジネス科」と「医療サポート科」の1年生18名が、リテールマーケティング(販売士)3級検定試験を受験し、13名が合格(合格率約72%)しました。
2016年度の前期に、数年前に卒業したOBが数名来校し、授業の中で、就職先のドラッグストアで社員に販売士3級を取得させていることや、就職先のホテルで、クレーム対応(販売士3級の販売・経営管理科目で学習)が役に立った体験談などを話してくれました。このドラッグストアに就職したOBは、卒業前に医薬品登録販売者資格も取得済みであったため、入社後すぐに副店長に昇格したそうです。このことで、学生は、販売士資格が役に立つことを理解し、モチベーションが向上したことが、よい影響を生んだのではないかと思います。
<担当教員へのインタビュー>
販売士科目を担当している坂口和江氏にお話を伺った。
カリキュラム
授業は1コマ90分、前期・後期とも30コマずつ、年間60コマです。前期には、「小売業の類型」と「マーチャンダイジング」の2科目、後期には、「ストアオペレーション」、「マ―ケティング」、「販売・経営管理」の3科目を学習します。
授業方法
前期・後期とも、授業に入る前に、ガイダンスを行います。そこで、検定試験の概要、出題方法・合格基準等について説明し、取得のメリットも伝えることにより、学生のモチベーション向上を促します。合格のためには、まんべんなく勉強が必要であることを強調します。
授業では、理解しやすいように、スライドを用いて説明を行い、学生には、説明が記憶に残るよう、ノートに書き取りをしてもらっています。次の授業では、前回の授業で学習した内容を復習するための小テストを行います。さらに、1科目終了ごとに、科目テストを行います。また、前期・後期とも、期末試験があります。
学生が理解しやすいように、身近な例をあげて具体的に説明したり、学生のよく利用する店舗を実例として資料を作成したり工夫をしています。授業の進行状況に配慮しながら、なるべく授業時間内で復習のための時間を確保するよう心掛けています。
学生の取り組み姿勢
学生は、授業前は賑やかにしていますが、授業が始まるときちんと説明を聞き、ノートもとっているので、授業が進めやすいと思っています。期末試験前には、ノートや小テスト、科目テストで復習しています。
「おもてなしビジネス科」の学生は、アパレルショップやホームセンターなどの店舗での、また、「医療サポート科」の学生は、薬局やドラッグストアでの実習があります。後期からは、実習をする学生が増えますが、実習先での業務と関連付けて学習ができている様子が伺えます。
学習の意義
就職する前に、会社の仕組みを理解して入社するのと、それを全く知らずに入社するのとでは、初めての仕事に直面しても、理解度などが相当違うはずです。流通・小売分野の企業でのマーケティングや本部と店舗との役割分担などを含めた会社の仕組みを知っているので、販売士を学んだ学生には、就職後も、自信を持って活躍してもらえるものと期待しています。
<学生へのインタビュー>
2017年2月に販売士3級に合格した「おもてなしビジネス科」の学生(2年生)からお話を聞いた。
丸山哲矢さん
販売士の学習に取り組むまでは、流通や経済の分野にほとんど目を向けることがありませんでした。流通・小売について一から学ぶことにより、モノがどのように流通しているかなど、さまざまなことに関心を持つようになりました。モノとヒトとに同時にかかわる仕事ができる卸売業なども含め、視野を広く持って就職活動に取り組みたいと思います。
佐藤里香さん
コンビニエンスストアや様々な店舗での商品陳列など身近にあることを学んで、興味が持てたことから、授業はとても楽しかったです。もともと、事務関係の仕事に興味がありましたが、販売士やホスピタリティに関する資格を取ったこともあり、障がい者支援の仕事にも興味が出てきました。
学校概要等
学校名 | 学校法人 平青学園 長野平青学園 |
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所在地 | 〒380-0918 長野県長野市アークス1-31 |
設立 | 1992年12月 |
設置学部 | ICTシステム・デザイン科、おもてなしビジネス科(2018年 サービス・マネジメント科へ科名変更)、医薬サポート科、歯科衛生士科、日本語科 |
在籍学生数 | 233名(2017年4月現在) |
リテールマーケテイング(販売士)検定試験合格者数
2016年度 | 3級13名 |
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