販売の現場で販売士の知識を活用
有限会社春華堂は、1887年(明治20年)の創業。2017年で130周年を迎えた。同社は、1961年発売の“夜のお菓子 うなぎパイ”で全国に知られている。同社は洋菓子のイメージが強いが、ルーツは和菓子屋で、初代は甘納豆、2代目は最中で評判を得たと伝えられている。
同社は、2014年に、53年ぶりの新ブランドとして、「からだに美味しい和の知恵菓子“五穀屋(ごこくや)”」と「パイ専門店“coneri(こねり)”」を誕生させた。同(2014)年、新ブランド開発と並行して、子供の“食育”と“職育”を目指すプロジェクトとして、浜松市浜北区に、和洋菓子販売施設とプレイグラウンドや庭園などを併設した「浜北スイーツコミュニティ“nicoe”(ニコエ)」を開業した。
同社は、「温故創新」を経営理念として掲げ、職人の手わざにこだわり、ものづくりの精神を大切にしながら、「探求を止めず、進化し続ける老舗」として菓子づくりに取り組んでいる。
【浜北スイーツコミュニティ“nicoe”】
同社総務部主任で、人財開発を担当する臼井公美氏にお話を伺った。
販売士資格活用の経緯
1989年頃から、当時の営業部長が、営業部員に販売士3級の取得を奨励したことがきっかけとなって、社内での学習・受験が始まったそうです。
その後、2007年のことですが、営業部に、学生時代に販売士3級を取得した新入社員が配属されてきました。このことが刺激となり、営業部では、課長、係長、主任は、販売士2級にチャレンジしようという機運が高まりました。これ以降、多数の営業部員が2級を学習し、取得するようになりました。
販売士の学習内容に関する評価
販売士の学習で、社員が最も役に立つと評価しているのは、ディスプレイ(陳列)です。ディスプレイの目的や様々なディスプレイ方法と特徴を学習し、売場づくりに活用しています。
また、マーチャンダイジング科目の学習で、商品計画、販売計画、仕入計画、販売政策、商品管理制作など一連の考え方を理解できることは、大変有益です。
ある営業部員は、「売れるための戦略を考える際に、販売士の知識を活用できている」と話してくれました。
営業部だけでなく、直営店舗や“nicoe”(ニコエ)でも販売士の資格を持つスタッフが活躍しています。
販売士資格取得者への評価
社員が検定試験を受験し合格者すると、会社から受験料相当額を支給しています。
さらに、入社前からの資格取得者も含め、販売士有資格者に対し、毎月、1級は10,000円、2級は3,000円、3級には1,500円の資格手当を支給しています。
販売部門の従業員236名(契約社員、パート、アルバイトを含む。2017年7月1日現在)のうち、1級が1名、2級が25名、3級が16名の販売士有資格者がいます。
菓子職人を養成する人財開発の取り組み
“うなぎパイ”は、職人の手づくりです。このパイづくりの技を確かなものとして伝承するため、当社は、2014年より「師範制度」を導入しました。うなぎパイづくりを担当する職人を能力別に、錬士、範士、宗家、師範の4段階に分け、職人としての技術、知識、人間性を育むことを目的としています。
菓子職人の育成のため、和菓子職人に関しては「菓子製造技能士」の取得を奨励し、また、洋菓子職人に関しては各洋菓子協会の開催する作品展やコンクールに出展するよう奨励しています。
会社概要等
会社名 | 有限会社春華堂 |
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本社所在地 | 〒432-8047 静岡県浜松市中区神田町553 |
代表者 | 代表取締役 山崎 貴裕 |
従業員数 | 478名(契約社員、パート、アルバイトを含む。2017年7月1日現在) |
資本金 | 500万円 |
創業 | 1887年 | 設立 | 1949年 |
事業内容 | 和洋菓子製造販売 |
販売士有資格者数
1級1名、2級25名、3級16名(2017年7月1日現在)