卸売業に役立つ販売士の知識
株式会社エトワール海渡は、1902年の創業。東京でも有数の問屋街である日本橋の馬喰町で営業を行っている。同社は、生活関連商品の“総合卸商社”で、衣・食・住(アパレル・インテリア・雑貨・食品など)をカバーする約85,000アイテムを取り扱っている。商品コンセプトは、「なくても困らないけど、あったら生活が楽しくなるモノ」と、ユニークである。
同社は会員制で営業しており、会員である全国の小売店(約20,000店)が顧客である。会員が、日本橋馬喰町にある3館の「卸店舗」に来店し、現金買取・セルフサービス方式で仕入れをするシステムになっている。(なお、インターネットで仕入れができる“オンラインストアETONET”も開設されている。)
卸店舗は、百貨店のようなフロア・売場構成であり、同社として、会員に、売場づくりやディスプレイ方法などを提案する場になっている。(写真は、いずれも卸店舗内での撮影。同社オリジナルブランド“レインボーベア”と“MON STYLE”のディスプレイを掲載。)
同社人事部人事課課長の青木仁氏に、販売士資格の活用を含む社員教育等についてお話を聞いた。
当社の社員教育
当社の社員教育の柱の一つである研修制度では、新入社員研修、新入社員フォローアップ研修、プレゼンテーション研修、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)研修、販売戦略研修、管理者研修など、業務に必要な知識を習得しやすいようにプログラムされた、テーマ別・階層別の体系となっています。
新入社員は、入社1年目に営業部の配属とし、研修の中でさまざまな売場を経験させ、会社のことがひと通りわかるようになった2年目に、販売士2級を取得するよう奨励しています。学習を支援するため、通信教育講座を用意されています。
販売士2級取得への支援
販売士2級の取得に関して、社員に自主的に取り組んでほしいという考えです。人事部としてのフォローは行いますが、通信教育講座の受講申込みおよび受験の申込みは費用の支払いも含め、各自でやってもらっています。
ただし、費用面に関して、通信講座の修了者に受講料の半額を支給し、販売士2級合格者には、表彰式を開催して社長から祝い金を授与しています。さらに、合格者(販売士有資格者)には、直近の4月以降、毎月、資格手当を支給しています。
販売士2級の合格率は例年9割以上であるが、特に、2013年以降、受験する社員(2年目の社員約10名)は全員合格しています。
販売士資格取得の意義
販売、会計、従業員の管理を含め、小売店の業務を体系的に学習できるのが販売士資格だと考えます。
当社は卸売業であり、小売店のことを十分に理解しなければ、営業ができないといっても過言ではありません。顧客の立場で物事を考えることが重要であり、小売業が何を必要としているのかをよく理解し、商品だけでなく、顧客の役に立つ情報を提供するところに卸売業としての存在価値があると思います。顧客がどのようなものを求めているかを十分に認識することは、接客にもプラスに働きます。
当社の強みは、企画・開発し、提案する「商品力」、商品分類を超えたライフスタイルを提案する「編集力」、販売促進力を強化する「流通力」であると自負しています。中でも、営業部の使命は、消費者のニーズに的確に対応する機動的な調達力を備え、小売店の店づくりに貢献し、人とモノの出会いを楽しくする「新しい価値」を提供することにあります。
メーカーと小売業の橋渡し役を務める、当社ならではの卸売機能、小売店支援機能を支えているのが、各部門で活躍する販売士の知識です。
会社概要等
会社名 | 株式会社エトワール海渡 |
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本社所在地 | 〒103-8370 東京都中央区日本橋馬喰町1-7-16 |
代表者 | 代表取締役社長 早川謹之助 |
従業員数 | 651名(2016年) |
売上高 | 232億円(2016年3月期) |
資本金 | 1億5,000万円 |
創業 | 1902年11月 |
事業内容 | 小売店への卸売・販売サポートおよび衣・食・住にわたる商品の総合企画を行う総合卸商社 |
販売士有資格者数 2017年2月現在
2級約400名、3級約50名(1級の人数はデータなし)