営業力のベースにリテールマーケティングの知識

白鶴酒造外観

日本一の酒どころ兵庫県・灘五郷。酒造りに適したお米「山田錦」と、硬水の六甲山伏流水から造られる灘のお酒は辛口の男酒といわれる。その代表格である白鶴酒造株式会社は、1743年(寛保3年)創業、現在、大阪・東京をはじめ主要都市9カ所を販売拠点に、出荷量1位を誇る老舗清酒メーカーである。

特徴的な教育制度と取得支援体制

270年以上の歴史の中で、守り、受け継いできた酒造りの心と伝統の技術。それを次世代に伝え、さらに、新たな挑戦も続けてゆく姿勢は、70年代後半に早くも業界トップをきって導入されたCIにも見ることができる。シンボルマークとスローガンである「時をこえ 親しみの心をおくる」のもと、社員一人ひとりが酒造文化の継承者であるとの意識で第一線に立ち、企業活動が行われている。中でも、卸・小売店に対して売れ筋商品情報の提供やその売り方提案、POP提案などを行う、きめ細やかなマーケティングと提案型営業の実践は、営業担当者のスタンスとして定着している。
同社の社員教育制度として、特徴的なものに「酒類知識習得制度」があり、資格取得のための要件として、公的資格の取得が義務付けられている。入社6、7年目の社員を対象とする「中級」の取得については、3日間の日程で研修が行われ、業界関係者に対して、日本酒を中心とした酒類や工場、酒造資料館の案内ができるレベルを目指し、認定試験を受験する必要がある。対象となる公的資格には「販売士」が含まれており、営業職ではほとんどの社員が販売士3級を取得する。学習方法は通信教育が採用されており、受講終了時には費用の7割を会社が補助、また、受験料に関しても、合格を条件に1回分は会社負担となっている。

酒造資料館

直接販売の持つポテンシャルに期待

「和食」のユネスコ無形文化遺産登録やクールジャパン、インバウンド需要の高まりを背景に、白鶴酒造では新たな日本酒ファンの創出や顧客の生の声を聴くマーケティングを目的として、酒造資料館やアンテナショップ展開している。「日本酒の良さを提案する商談や販売のシーンでは、リテールマーケティングの知識が必要」と総務人事部課長代理の林寿和氏。今後も、販売士取得者のご活躍を期待したい。

<平成27・28年度広報委員 鴻本久美>

会社概要等

会社名 白鶴酒造株式会社
本社所在地 〒658-0041 兵庫県神戸市東灘区住吉南町4丁目5-5
代表者 代表取締役社長 嘉納 健二
従業員数 428名(2016年4月1日現在)
年商 350億円(2016年3月期)
資本金 4億9,500万円
創業 1743年
事業内容 清酒の製造・販売・媒介、焼酎・リキュール・味醂・その他酒類の製造・販売・媒介、ビール・醤油・清涼飲料水・その他食料品の販売、輸入ワインの販売、不動産の賃貸、化粧品の販売

販売士合格者数(2016年8月現在)

1級1名、2級20名、3級77名