名産品販売を支える販売士資格

阿部蒲鉾店店舗

株式会社阿部蒲鉾店は、1935年(昭和10年)の創業。創業者が、当時、宮城県沖で獲れたひらめなどを原料に作られていたかまぼこを、その形状から、旧仙台藩主伊達家の家紋「竹に雀」の笹にちなんで命名して以来、「笹かまぼこ」は、仙台の代表的名産品として知られるようになっている。
同社は、「お客様においしいと喜んでいただくこと」を第一の使命とし、伝統を守り、顧客のニーズに応える食文化の創造を目指し、事業に取り組んでいる。
同社販売本部を統括している取締役の阿部馨一郎氏に販売士資格の活用についてお話を聞いた。

阿部氏

資格の活用

当社の社員教育においては、蒲鉾技能士(国家資格)と販売士の取得を推奨している。
これらの資格取得や研修制度を通じて培った、伝統の味を守る「商品力」、また、商品の魅力を活かす「提案力」、さらに、顧客のニーズをとらえる「マーケティング力」が、当社の事業を支える礎となっている。

販売士資格活用の経緯

販売士に関しては、1980年代、当社が積極的に店舗展開し、営業を拡大していた時期に、当時の阿部秀一社長(現会長)が、他社に先駆けて、販売員の資質向上の目的で資格の活用を開始し、現在も取得を奨励している。
店舗の増加とともに、店舗ごとの裁量の範囲であるが、現場主義で、自立した運営が必要になり、当時、特に店長には、部下の指導育成のための知識修得の目的も兼ね、最低でも3級の取得を奨励していた。

販売士資格活用の意義

販売士については、販売に必要な商品知識と販売技術、仕入や在庫管理を含む店舗運営などを体系的に学ぶことができる点を評価している。販売員は、理論的に物事を考えながら販売することができるようになる。
当社では、一部、独立した建物になっている店舗もあるが、大型店への出店が多く、業態や形態、また、施設の構造や広さもまちまちである。販売士であれば、ディスプレイの基本を理解していることから、独自に工夫をしながら、施設等の状況に対応した適切な売場づくりができる。

販売士資格取得への支援等

当社では、2級・3級リテールマーケティング(販売士)検定試験に備え、社内で、社員が講師を務める受験対策講座を実施しており、毎回、受験希望者が受講する。講座は、検定試験の約3カ月前から、18:30~21:00の時間帯で、各級とも6回程度実施している。
ここ数年、新入社員は、4月に学習を開始して7月に3級を受験し、その後、年度内に2級を受験して、おおむね合格している。
受験料は自己負担であるが、合格した次の年度から5年間、毎月、級に応じた手当が支給される。

今後の課題

当社は、自由で家族的な社風であり、何ごとも強制することを好まない。資格取得についても義務としていないが、社員のスキルアップの観点から、是非とも、自発的に資格取得に取り組んでほしいと考えている。
今後、社員が、より前向きに資格取得に取り組めるよう、会社としての体系立てた支援制度を検討し、導入したいと考えている。

店内風景

会社概要等

会社名 株式会社阿部蒲鉾店
本社所在地 〒980-0021 宮城県仙台市青葉区中央2丁目3番18号
代表者 代表取締役社長 阿部 賀寿男
従業員数 323名(2015年6月1日現在)
売上高 38億円(2015年度)
資本金 7,450万円
創業 1935年10月
主な事業内容 蒲鉾の製造販売

販売士有資格者数 2016年12月現在

1級1名、2級42名、3級87名