取引先とのコミュニケーションに必要な知識修得のため資格取得を奨励
日本出版販売株式会社は、1949年の創業以来、書籍・雑誌の流通を担う国内最大の出版販売会社として、出版流通の革新に取り組んでいる。同社では、迅速・確実な配送システムの構築を基本として、各種流通情報の提供、書店店頭の活性化提案、経営管理、人材育成まで、トータルな視点で書店ビジネスを支援している。
同社で採用・人材育成を担当する経営戦略室コーポレート統括グループ採用・育成チームのチームリーダー小幡祥文氏、同チーム・チーフの中村良一氏にお話を聞いた。
資格取得奨励に至る経緯
当社では、1990年より、「営業インストラクター研修」を実施し、同時に、販売士講座を開設。営業担当の係長中心に受験を促進した。1994年頃には、「販売士1級セミナー」を実施、あわせて、検定や資格試験に合格した場合、受験料の補助、および奨励金を支給する「資格取得援助制度」を開始した。その後、同セミナーは、公的資格である販売士1級資格を取得することの意義が社内的に認識され、継続的に実施されている。
資格取得の意義
営業の第一の目的は、取引先である書店と協力して店をよくしていくことである。営業担当者は、お客様が足を運びたくなるような商品の提案、陳列など、魅力的な店舗作りをサポートしている。当社として、小売・流通業に必要な知識を得るための公的資格として販売士が一番適切という認識のもと、資格取得を奨励し、奨励金も支給するということで、力を入れている。
特に、書店の経営者に提案を行う際に、販売士1級レベルの知識が必要であると認識している。
資格取得の位置づけと活用
当社では、就職内定者に対して、販売士3級資格取得に向けた学習を奨励している。内定者は、会社が送付した参考書・問題集で自己学習を開始し、入社前の2月、または入社後の7月に検定試験を受験する(受験料は会社が支給)。販売士3級は、「Jグレード」(概ね入社後4年目までの社員が所属する職位)から「Sグレード」(係長昇格前の職位)に昇格するときに必要な資格として位置づけられている。
また、販売士2級が係長への昇格の要件のひとつとなっている。
販売士1級については、係長以上の職位の社員に学習・受験を奨励している。1級資格取得者については、1990年以降、累計で543名となっている。
販売士2級、1級に合格した場合、それぞれ会社から奨励金を支給している。5年毎の資格更新の更新費用は会社が負担している。
資格取得に対する支援
「日販アカデミー」という社員向けの通信教育講座をまとめた冊子を作っており、販売士1級と2級の講座が含まれている。資格が昇格・昇進の条件になっていることだけでなく、社員の継続的学習を支援・強化するために冊子を作成・提供している。
特に、販売士1級取得希望者に対しては、年3回、外部講師を招いてセミナー(重要ポイントと過去問の解説など)を実施している。加えて、講師と相談し、ポイント集や用語集を作成、提供することによりバックアップしている。地方の社員には、セミナーを録画したDVDを提供している。なお、セミナーの中で、1級有資格者から、学習方法などの体験発表の場も設けている。
社員への支援に関する課題と今後の取り組み
本来、資格を取ること自体が目的ではなく、修得した知識を業務の中で活かせるということが重要であると考えている。セミナーについても、学んで活かせるということを目標に取り組んでおり、特に、内容については、アンケート結果に基づいて、随時、改善していきたい。
今後、会社として社員が効率的に学習できるよう、通信教育講座とセミナー以外でどのような支援ができるかを検討し、サポート体制の強化を進めたい。
<平成27・28年度広報委員 篠崎朋子>
会社概要等
会社名 | 日本出版販売株式会社 |
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本社所在地 | 〒101-8710 東京都千代田区神田駿河台4丁目3番地 |
代表者 | 代表取締役社長 平林彰 |
従業員数 | 1,394 名(2016年3月31日現在) |
売上高 | 5,136億円(2016年3月31日現在) |
資本金 | 30億円 |
設立 | 1949年9月10日 |
事業内容 | 書籍・雑誌・教科書・教材品の取次販売、映像・音声ソフトの製作・販売・関連著作権の取得・賃貸、コンピュータ機器・ソフトウェアの販売・情報提供サービス |
販売士有資格者数(在職者のみ)2016年7月現在
1級409名、2級307名、3級680名