未来のビジネスリーダーを育む産学連携の新たな形 — 札幌国際大学における販売士育成支援の現場から

はじめに ~教育機関との連携が拓く、地域人材育成の可能性~
私たち札幌販売士協会は、販売・マーケティング分野の専門家集団として、地域経済の発展に貢献する人材の育成を使命として活動しております。その活動の重要な柱の一つが、次代を担う若者たちへの教育支援です。中でも、札幌国際大学との連携による「販売士養成講習会」は、産学連携の大きな可能性を示す、特筆すべき取り組みとなっています。本稿では、講師陣が間近で見てきた、同大学の熱意ある取り組みと、それに呼応して目覚ましい成長を遂げる学生たちの姿をご紹介させていただきます。

      札幌国際大学外観

スポーツビジネスの最前線を見据えた、先進的な取り組み
札幌国際大学との連携は2019年度に始まりました。特に、スポーツ人間学部スポーツビジネス学科では、就職活動やアルバイトなどで活躍できる人材を育成するため、いち早く販売士資格の重要性に着目されていました。
「学生たちが就職後、即戦力として活躍するために、専門知識の裏付けは不可欠」という大学側の強い想いを受け、私たちは学内でオリエンテーション実施、関心の高い学生を集めて、養成講習会を開講しました。

講師として教壇に立つ中で感銘を受けるのは、学生たちの学習に対する真摯な姿勢です。彼らは、将来スポーツビジネスの世界で活躍するという明確な目標を持っており、私たちの講義に対しても、鋭い質問を投げかけてきます。その熱意に応えるべく、私たち講師陣も、単なる知識の伝達に留まらない、実社会の事例を豊富に盛り込んだ実践的な指導を心がけています。

学内で実施されている販売士養成講習会の様子

学びの熱意と、輝かしい成果
2021年度には、同大学で初となる1級販売士合格者が生まれました。最難関とされる1級への挑戦は、決して平坦な道のりではありません。しかし、彼は小売業でのアルバイト経験で得た課題意識を、販売士の学習を通じて体系的な知識へと昇華させ、見事に難関を突破しました。彼の快挙は、後に続く後輩たちにとって、大きな目標と勇気を与えています。
私たち札幌販売士協会としても、このような高い志を持つ学生を支援できることを、この上ない誇りに感じています。

講師として感じる、学生たちの確かな成長
資格取得はゴールではなく、あくまでスタートです。しかし、販売士資格の学習プロセスは、学生たちを社会で活躍するビジネスパーソンへと成長させる上で、非常に大きな意味を持つと確信しています。
マーケティングの仕組みを学ぶことで、彼らは消費者としての視点だけでなく、「どうすれば商品やサービスの価値を伝えられるか」という提供者側の視点を獲得します。店舗運営の知識は、組織の中で自分が果たすべき役割を理解し、チームで成果を出すことの重要性を教えてくれます。
講習会を通じて、学生たちの具体的で力強い目標へと変わっていく姿を目の当たりにできることは、講師としての何よりの喜びです。

今後の展望 ~地域社会の未来のために~
札幌国際大学の先進的な取り組みは、大学教育における資格取得支援の一つの理想的なモデルケースと言えるでしょう。私たち札幌販売士協会は、これからも同大学との強固なパートナーシップを継続し、一人でも多くの学生が社会で輝けるよう、全力でサポートしていく所存です。そして、この素晴らしい産学連携の輪が北海道全体に広がり、地域経済を活性化させる原動力となることを心から願っています。

<寄稿:日本販売士協会登録講師/札幌販売士協会副理事長 神田勲>

大学概要等

学校名 札幌国際大学
所在地 〒004-8602北海道札幌市清田区清田4条1丁目4-1
URL https://www.siu.ac.jp/

【札幌国際大学 養成講習会受講者】
2019年度 2級14名(合格率72.6%) 3級1名(合格率100%)
2020年度 2級9名(合格率88.9%) 3級6名(合格率66.7%)
2021年度 1級1名(合格率100%) 2級4名(合格率100%) 3級7名(合格率85.7%)
2022年度 3級11名(合格率81.8%)
2023年度 2級8名(合格率25%) 3級6名(合格率50%)
2024年度 2級2名(合格率50%) 3級11名(合格率27.2%)
2025年度 3級14名(合格率57.1%)