~地域産品の「マッチング先進校」が、販売士の輩出をスタート~

なんちゃって?いちご大福ジェラート〜鷲羽高校の生徒が「風美堂」と「シーサイドファームなんば牧場」のコラボ商品を開発

【こじまっちんぐプロジェクト】
岡山県立倉敷鷲羽高校では、「こじまっちんぐプロジェクト」という、地方と地方の特産品を結び付けるプロジェクトを行っている。最初は高校の地元「児島地域」からスタートした取り組みであるが、現在は県内外へと範囲を広げ、新たな商品を生み出している。
一例として、吉備中央町の特産のブルーベリー農家と、児島のジェラート屋をマッチングして生まれた「ブルーベリージェラート」があり、地元のヒット商品となっている。この商品は、高梁城南高校の環境科学科と連携し、生徒同士でオンラインミーティングを繰り返しながら、完成させたものである。
令和4年10月末には、全国25校の高校が開発・販売している商品を、JR岡山駅で受託販売する「SDGsいちななマルシェ」を予定している。生徒たちはこのイベントに先駆けてクラウドファンディングにも挑戦し、80万円の元手を集めたという。

【各種のコンテストで高い評価】
こじまっちんぐプロジェクトは、外部からも高い評価を受けており、福知山大学「田舎力甲子園」優秀賞、「中国五県生徒商業研究発表大会」優秀賞、愛媛大学「社会共創コンテスト」クリエイター賞、「サスティナブル・ブランド国際会議2022横浜」上位3校選出など、数々の賞に選ばれている。
倉敷鷲羽高校が、このような高い評価を受けている理由として、こじまっちんぐプロジェクトを通した生徒の成長に注目される。このプロジェクトを企画している大池淳一教諭は、大学院で教育研究に取り組み、生徒の成長について定量的な分析も実施しており、生徒の成長を実感している。

「こじまっちんぐプロジェクトに関わった生徒は、ストレートには上手くいかず人と人との間の『板挟み』なども経験します。これは、想定外の状況を『生きぬく力』でもあり、AIにはできない能力です。(倉敷鷲羽高校ビジネス科長 大池淳一教諭)」

吉備中央町産ブルーベリーを使った特製ジェラート〜倉敷鷲羽高校と高梁城南高校がコラボ商品を開発

【実践と検定の実績を、進路に活かす】
倉敷鷲羽高校では実践と合わせて検定取得も推奨しており、「検定の知識を現実に活かしていく」という方針を持っている「検定の知識を現実に活かしていく」という方針を持っている。

「1~2年生では徹底して全商1級まで学んでいますが、『検定を取っても現場で使えない』と言われないよう、3年生で『こじまっちんぐ』に挑戦させています。(倉敷鷲羽高校ビジネス科長 大池淳一教諭)」

倉敷鷲羽高校では、日商簿記の合格者も出しているほか、販売士検定につながる商業経済検定も8~9割の生徒が1級まで合格しているという。令和4年には、日商の検定啓発事業(検定啓発キャラバン隊事業)での出前授業も活用しながら、実践と結びついた学びや、大池教諭の指導のもと、販売士の合格者を輩出し始めている。

「日商の派遣事業がきっかけになって、生徒たちが将来に向けて真剣に考えるようになりました。このご縁は本当にありがたかったです。(倉敷鷲羽高校ビジネス科長 大池淳一教諭)」

実践と検定を両立させている倉敷鷲羽高校では、ビジネス科の約2割の生徒が国公立大学を志望し、多い年では6名もの合格者を輩出している。就職を目指す生徒についても地元地銀や大企業など有名企業への就職者を輩出している。

純児島産いちじくジェラート〜鷲羽高校の生徒が提案!コロナ禍の今こそ地元児島に注目しよう

【検定と実践が結びつくとは】
倉敷鷲羽高校の生徒が大学や企業から評価される理由として、販売士をはじめとする「検定の知識」と、こじまっちんぐプロジェクトのような「実践の場面」が結びついている点に着目できる。

「検定と実践が結びついている例として、『原価』の考え方があります。商品開発をさせていく中で、原価計算についてのディスカッションをさせる場面があるのですが、生徒を見ていて、検定の知識があるからこそ理解が深まっているのだということが分かります。(倉敷鷲羽高校ビジネス科長 大池淳一教諭)」

インタビュー時には、3年生たちのディスカッションの様子も拝見したが、「商品開発や販売にかかる諸経費が、どう原価や価格に転嫁されるべきか」をテーマに、レベルの高い議論が行われていた。教員主導ではなく、生徒が主体的に取り組む様子がうかがえた。

「いま商業科では、『検定の知識だけではダメ』だと言われていますが、検定試験は知識・技術に加えて、生徒の『モチベーション』や『自己肯定感』にもつながっています。検定に合格することで、主体的に物事に取り組みやすくなり、その結果、ディスカッションや地域と連携した活動にも前向きに取り組むようになっています。(倉敷鷲羽高校ビジネス科長 大池淳一教諭)」

現行の学習指導要領では、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」に加えて、「学びに向かう力、人間性など」が求められているが、倉敷鷲羽高校の取り組みは、「学びに向かう生徒を育てる検定教育」になっている点が強く感じられる。

インタビュー:髙見啓一

学校概要等

学校名 岡山県立倉敷鷲羽高等学校
所在地 〒711-0915 岡山県倉敷市児島味野山田町2301番地
創立 2005年4月
設置学科 普通科、ビジネス科
在籍生徒数 435人(2022年5月1日現在)

検定試験合格者数

2022年度 商業経済検定1級合格者数 48名(ビジネス科3年次 在籍62人中)
リテールマーケティング(販売士)3級合格者 1名(ここ数年で初)

記事掲載:2022年10月13日